夫婦問題に悩むカウンセリングの現場では、「夫婦関係を修復したい」と望むケースが少なくありません。
「どうしても別れたくないんです」
「もとのようなラブラブ夫婦に戻りたい」
「相手が一方的に離婚したいと言ってきて、どうしたらいいかわかりません」
夫婦間のトラブルは、それぞれに異なり、それぞれに深刻ですが、相談者の言葉はどれも共通しています。
■ 夫からの一方的な離婚宣言
たとえば、夫から「離婚したい」と迫られているケースでは、妻側に、これといった理由が見当たらず、困惑していることもあります。話し合いもままならず、ある日、夫が離婚届けをもってきて、「サインしろ」と半ば強制的に妻に迫る場合もあります。
そんなとき、妻は夫の言動におびえ、平常心でいられなくなるでしょう。夫の怒声や荒々しい態度に、つい従わなくてはならない気持ちになってしまうことがあります。
ですが、夫婦の関係は平等です。上下関係でもなく、主従関係でもありません。妻の座は法律で守られているので、簡単に離婚することはできません。
夫婦の一方が、独断で「離婚」を決めることはできないのです。
■ 修復を望むなら「夫婦円満調停」の検討も
もし、あなたが「離婚したくない」と思っているのなら、きちんと主張しましょう。
本来は、夫婦で、穏やかに話し合い、今後、婚姻関係を継続していくのか、解消するのか、を決めるのが理想です。ですが、夫婦だけでの話し合いが難しい場合は、家庭裁判所で調停を申し立てることができます。
家庭裁判所では、「離婚調停」だけでなく、「夫婦円満調停」も扱っていますので、夫婦関係の修復を希望する場合は、「夫婦円満調停」を申し立てるといいでしょう。
裁判所の「夫婦関係調整調停(円満)」ページには、冒頭に以下のような文章が書かれています。
「夫婦が円満な関係でなくなった場合には,円満な夫婦関係を回復するための話合いをする場として,家庭裁判所の調停手続を利用することができます。」(※1)
■ 「離婚届の不受理申立書」を提出するのも一案
また、勝手に離婚届けを提出されそうなときは、市区町村役場の戸籍係に、「離婚届不受理申立書」を提出しておくと、離婚届が受理されることはありません。(離婚届の不受理期間は6カ月以内です)
いずれにしても、精神的に不安定なときは、冷静な判断をするのは難しいもの。ひとりで抱え込まず、まずは専門家に相談することをお勧めします。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※1. 裁判所HP「夫婦関係調整調停(円満)