筆者はキャリア・カウンセラーとしてたくさんの相談に携わってきましたが、20代後半から30代後半の女性に非常に多いのが「うちの会社では育休が取りにくいし、両立がしにくいので転職したい」という内容です。今回は、この決断の前に必須の取り組みについてお伝えします。
■ その考え方は「事実」なのか整理しよう
たしかに現在の仕事が忙しいし、残業も多い。これに加えて家事や子育てがあったら、やっていけるのだろうか? そもそもうちの会社で育児休暇って取れるのだろうか? このように不安に思っている人も多いでしょう。ここで必要なのは、まず自社の状況や自分の仕事、夫となる彼の考え方や対応などについて漠然と頭に描いているだけではなく、整理してみることです。
- 自分の会社は就業規則はどうなっているのか
- 自分の部署だけではなく、全社で以前に育児休暇を取得している人はいるのか
- 自分の担当分野で取得している人はいるのか、その後どのような働き方をしているか
- 彼は2人の子育てについてどう考えているのか、
- 結婚後、家事の分担についてはどう話し合っているのか
このような質問について詳しく答えてみるのです。
すると「何となく頭の中で思っていたけれど、具体的に分かっていなかった。彼ともじっくり話したことはなかった、深く考えたことはなかった」という点も出てくるのではないでしょうか。
■ 転職を検討している先についても調べてみよう
そして、自社だけではなく転職を検討している企業や職種についても、状況を調べてみることをお勧めします。紹介エージェントなどを使っているなら、担当者から情報収集したり、転職を検討している企業の人がどのような働き方をしているのか、新卒募集のサイトでもよいので「社員の声」や「働くスケジュール例」などを調べましょう。もしかしたら、大して自分の会社と状況は違わないケースもあるのではないでしょうか。
現在、社会の状況も刻々動いています。「女性活躍推進」や「一億総活躍」などが国の施策となり、企業でも女性が仕事を続けてキャリアアップしてほしいという機運が高まっています。今後あなたの会社でも、今よりも更に働き続ける環境が整ってくる変化があるかもしれません。
転職前に“仕事を辞める決断”をするよりも、転職活動をしてみて、他の企業の状況を把握し、より自分が続けやすいほうを選ぶほうが選択肢を持つことができるでしょう。必須であり大切なのは「辞める前の整理」なのです。
[執筆:渡部 幸(コーチ/キャリアコンサルタント)]
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません