駅のホームなどであきらかに就活中と見えるリクルートスーツの男女をよく見かけます。思わず「がんばれ」と心の中で応援したくなりますが、多くの人が進路について悩むのは当然のこと。さらに、そこに母親の意見が入ってくるとなるとさらにプレッシャーがかかります。「なんでそんな小さな会社受けるのよ。せっかくいい大学に行ったのに。もっと大きな企業を狙えるわよ」「ムリムリ、あなたには絶対無理だって、そんな仕事」。
母親から繰り出される言葉の数々は、娘にとって「自分を一番理解してくれている人だから」という考えが根っこにあるため、揺るがないものとなっていきます。そこから、訪問先リストの優先順位が変わっていき、最終的には母親が希望する会社が並ぶようになるのです。
■「お母さんの言うことは間違いない」の神話が崩れるとき
そうやって仕事の進路を母好みにすることで内定を得、春から働き始めたものの「この会社、何となく違う。この仕事、私のやりたかったこと?」とゴールデンウイークが終わった頃から、疑問に思い始める人が出てくるのも6月頃です。
このように感じている人は、就活生を見かけると1年前の自分とその姿がダブって見えて、「あの時、母は『お母さんの言う事さえ聞いておけば大丈夫よ』と言っていたけれど、それって本当?」と考えるようになります。
■ 母親が就活に意見してくることが辛いなら
厚生労働省の雇用動向調査によると、転職した20~24歳の女性で「転職入職者が前職を辞めた理由」の第1位は「仕事の内容に興味を持てなかった」(11.8%)です。もちろん、この全ての人が母親の影響で進路を決めたわけではありません。しかし、母娘関係改善カウンセラーの筆者のところに「母親が就活に意見してくる」という相談は現役就活生、また1年後に離職した方からも多く、多少の関連性はあると思えます。
もし今、就活を行っている、または転職活動をしている人で、母親が意見してくることが辛いと感じているならば、この状況を、母親から距離をおくきっかけと捉えてください。そして、あなた自身が本当に何をやりたいのか、自分の声に耳を傾けてみましょう。それでも不安ならば筆者のようなカウンセラーを利用してください。自分の心を見つめることが大事です。
[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)]
【参考】
※1. 『平成27年上半期「雇用動向調査」の結果』厚生労働省, pp.15より
※執筆者:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)について。女性専用のカウンセリング『ボイスマルシェ』の登録カウンセラー。電話カウンセリングなので全国どこからでも利用できる、匿名で話せる、当日予約できるというボイスマルシェの特長を活かし、全国の女性たちから寄せられる母娘関係の相談にのっている。
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません