2020年、私達の生活は大きく様変わりしました。これまでとは違う生活スタイルに戸惑いや不安を感じている人も多いのではないでしょうか。夫婦関係にも影響を与え、「コロナ離婚」というワードまで誕生しました。
■ 外出自粛で夫婦げんかが多発
夫婦関係・離婚カウンセラーをしている筆者に寄せられる相談例をもとに、改めて検証してみました。以下は、妻の不満の声です。
「在宅勤務で家にいるのに、家事をいっさいやらない夫にイライラします」
「夫がずっと家にいるのはストレス。今も、夫に聞かれないように、車の中から電話で相談しています」
「夜も大勢で外食するし、帰宅後にすぐ手を洗いません。子どもが居るのに、自覚がなくて腹が立ちます」
男女共同参画局によれば、全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は2020年4月は13,223件となっており、昨年4月の10,295件から約3割の増加とのこと(※1)。夫婦間で言い争いや家庭内暴力が増えているのですね。
家庭内の不満を、家の外でストレス発散できたこれまでと違い、自粛要請やお店の開店時間の縮小で、愚痴や不満の吐き出し場所がなくなったこともひとつの要因といえそうです。
■ 先の読めない不安で、離婚を先送りに
厚生労働省が発表した人口動態統計速報(令和2年6月分)によると、4月以降に激減した離婚件数が、6月に入って徐々に上昇傾向にあります(※2)。
これまで、夫婦関係の「修復希望」という相談が多かった筆者のカウンセリングも、最近は「離婚希望」が目立っています。
先が読めない不安な状況下で、離婚を先送りしたり我慢をしてペンディングしていた家庭が動き出したのではと推測できます。また、コロナで停止していた家裁の案件が再開したので、今後離婚はさらに増えそうな気配です。
■ もともとの夫婦関係がコロナによって表層化
一方で、こんな声も。
「小さな子どもがいるので、人手があると何かと便利。料理も一緒に作るようになりました」
「いま妊娠中で、体調がよくなかったので、夫がいてくれて助かりました」
「夫婦で模様替えや片付けができました」
「夫婦の会話が増えて、理解が深まりました」
このように、一緒にいる時間が増えたことで、「夫婦関係がさらに仲良くなった」というケースです。
コロナによって問題が生じるケースもありますが、もともとの夫婦関係が、生活の変化によって表層化し、明確化したといえそうですね。
今回のコロナ騒動で、改めて向き合わざるを得なくなった夫婦関係。みなさんの家庭は、どのような変化がありましたか。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※1.男女共同参画局『新型コロナウイルスに関連したDV対策の取組について』「共同参画」2020年6月号
※2. 厚生労働省『人口動態統計速報(令和2年6月分)』令和2年8月25日発表
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません