「なかなか子どもに会わせてもらえない」
「もっと子どもに会いたい」
夫婦問題に特化したカウンセリングを行う筆者のもとには、こんな声を聞くことが少なくありません。多くは、離婚した元夫側からの切実な訴えです。離婚後に、子どもに会わせてもらえなかったり、会えたとしても頻度や時間が少なかったり、そうした理由で苦しんでいる人が多いのです。
■ 離婚のときに決める「親権」とは
離婚する際に決める条件のひとつに「親権」があります。親権とは、子どもを一人前の大人に育てる役割のこと。親権者は、子どもが安心して生活できる環境を整え、日常生活の世話や大事な手続きなどをする義務と責任があります。多くは一緒に暮らす親が「親権者」になり、日本は母親が親権者になるケースがほとんどです。
とはいえ、別れた一方の親(親権を持たない親)も、子どもの親であることに変わりはありません。離婚後も、子にとって大切な親であることを認めるのがポイント。そして、両親で協力しあいながら子育てするのが理想です。
最近は、千秋さん、シェリーさん、西山茉希さんなど、“共同養育”を実践している有名人がいらっしゃいます。今後は、離婚後も子育てパートナーとして共同養育をする人が増えていくのではないでしょうか。
■ 離れて暮らす親と子どもが交流する「面会交流」
離婚後、親と子どもが会うことを「面会交流」といいます。一緒に暮らす親を「同居親」、離れて暮らす親のことを「別居親」と呼びますが、理想的な面会交流の形を望む別居親が多いのです。
子どもは、一人の親のものではありません。子どもにとっては、パパもママも世界でたった一人の大切な存在です。そして、面会交流を継続的に行うことで、子どもは「愛されている」と感じ、肯定的なイメージを抱くことができます。
■ 離婚後、両親で子育てするとメリットいろいろ
「共同養育」の実践、普及活動を行う一般社団法人りむすび代表、しばはし聡子さんの著書『別れてもふたりで子育て』には、共同養育は、親、子どもともにメリットが大きいと書かれています(※1)。
同居親にとっても育児負担が減り、困りごとがあったときも頼ることができます。また、子どもを預けている間は、一人時間を楽しむことも。映画を観たり、エステをしたり、たまには旅行に出かけてリフレッシュすることもできます。
両親が子育てに責任を持つ「共同養育」を取り入れて、親子の面会交流がスムーズに実施されることで、「もっと子どもに会いたい」という苦悩の声が少しでも減ることを願っています。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※1.しばはし 聡子(2020年)『離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て (知っておきたい共同養育のコツ)』マガジンランド
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません