私ごとですが、筆者に最近、初孫が生まれました。初めての出来事に、祖母の立場としてどう関わったらいいのかを考える機会となりました。夫婦問題を扱うカウンセラーとして、出産と夫婦関係の実情からの考察をお伝えします。
■ 夫婦関係の観点から見ると
祖母にとって、我が子の妊娠・出産は特別なライフイベントにあたります。期待も大きく、孫に会える楽しみはとても大きいものです。それだけに、出産後はできるだけ娘夫婦の負担を少なくしてあげたいという気持ちになりました。
出産が近づくと「里帰り出産」は選択肢のひとつです。出産する妻の実家側もその心づもりでいるケースもあるでしょう。出産後の母親の身体を回復させるためにも、実母が身の回りの世話をしてくれるのはとても助かりますし、身体的にも精神的にもリラックスできますよね。そんなメリットの多い「里帰り出産」ですから、実家を頼りたくなるのもうなずけます。筆者の場合は、住まいのスペースの事情などで「里帰り出産」ができず、筆者が娘夫婦の家に出向いて産後のサポートをしたのですが、このスタイルは、「夫婦関係」の観点からいっても、よかった点がいくつかありました。
■ 子育ては夫婦の共同作業が基本
妻だけが「里帰り出産」する場合は、一時的とはいえ夫婦が離れてしまいます。一方、自分の家に親に来てもらうスタイルなら、夫も育児に参加しながら一緒に子育てができます。子育ては、夫婦の共同作業が基本なので、できるだけ夫に参加してもらうスタンスを取りたいものです。
もちろん、新生児は夜泣きや授乳の回数が多く、夜中も起こされるので、夫にとっては仕事をしながらの新生児のお世話は体力的にも大変です。それでも、夫婦が協力しあい助け合いながら育児をすることには意味があります。
なぜなら、夫婦関係が悪くなって筆者のところに寄せられる相談は、出産後に夫が育児参加しなかったことを妻がずっと恨んでいるケースが多いのです。ですので出産後は、新米パパと新米ママが協力しあい試行錯誤しながら一緒に育児をすること、そしてそのプロセスこそ大切です。大変さを共有し、苦労を分かち合う体験をすることで、夫婦の絆が深まり、家族の思い出に繋がりますので、環境が許し夫婦で同意しているのなら、里帰りをしない選択も視野に入れてみてください。とはいえ、産後の産褥期はサポートが必要ですから、祖母の手伝いのほか、行政の支援、民間の産後ドゥーラなどを利用しましょう。
■ 祖母の立場としてわきまえること
祖母の立場としての注意点もいくつかあります。
娘と孫かわいさにどうしても甘やかしたくなります。そのため、手も口も出ししたくなるのですが、育児の考え方も常識も変わっています。あれこれ言いたくなっても、こちらかアドバイスするのは遠慮して、娘夫婦から依頼されたり質問されたら動き出すくらいでちょうどいいのかもしれません。
多少失敗してもいい、命に関わらなければ大丈夫、と大きく見守りたいものです。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません