93歳・生命保険の外務員、80歳・化粧品の販売員が、『日本経済新聞』の記事(※1)に登場。どちらの女性も、その仕事を始めて以来40~50年、全国表彰を受け続けているとか!
「すごい先輩がいるものだなぁ……、私はそんなに長く働かないけど」
なんて思ったあなた! 私たちの世代は、年金の受け取り開始が70歳になっているかもしれません。そうするとあと30~40年は働くことに……。パートナーの有無にかかわらず、長く働くヒントを先輩方のお話から考えてみましょう。
■ 出会いを楽しむ
外務員のAさんは「人と会うのが好き。この仕事が好き」、販売員のBさんは「日々出会いのあるこの仕事は天職。いつまでも続けたい」と、記事で語っています。出会いを楽しむ方々なのですね。
ちなみに、彼女たちの顧客数がとてつもない!Aさんは400世帯、Bさんは300人だとか。これだけの顧客を抱えるまでに、何倍の人々に会いに行き、どれだけ断られたことでしょう……と、失礼ながら勝手に推測。きっと、出会うまでの悲喜こもごも受け止めることも、出会いを楽しむには必要なのです。
■ 徹底的に相手の立場で
ところで、好成績を維持するからこそ、楽しく働けることも想像に難くありません。記事によれば、Aさんは「特別なことは何もしてこなかった」そうですが、以下のとおり2人の仕事ぶりから、顧客を大切にする姿勢がうかがえます。
- 数百人の顧客データを、すべて頭に入れている。
- 絶妙のタイミングで顧客に会うものの、状況に応じて仕事の話を控える。
そして、顧客を大切にする姿勢がずば抜けており、たとえば「ひらがなで話す技術」(※2)が優れているのではないかと、2人の写真(素敵な笑顔!)と年齢から、筆者は想像しました。
「ひらがなで話す技術」とは、相手にどう聞こえているかを、徹底的に考え抜いて話すこと。
例えば、就職活動の応募書類では「貴社」と書きますが、面接では「御社」に替えます。その理由は、「きしゃ」と聞くと相手は、貴社、汽車、記者、帰社…、と迷うかもしれないから。このような負担をかけない話し方なら、スッと理解され、親しみを持たれることもあるでしょう。
長く働くことを考えるなら、徹底的にわかりやすく話す技術を磨いてみては? その努力の先に、信頼され、重宝される存在になるという結果が、きっと待っています!
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント)]
【参考】
※1. 『日本経済新聞』2014年4月5日「定年なく第一線楽しむ」
※2. 東日本電信電話株式会社「朝礼ネタ帳「ひらがな」で話そう」2013年9月24日