これから産まれる赤ちゃんに何をプレゼントしてあげたいですか?
可愛い手編みの手袋? しっかり者のママは、いざという時のための医療保険と答える方もいらっしゃるかもしれません。可愛いわが子が、安全で健康に育ってほしいというのは親の掛け値ない願い。考えたくないですが、万が一、重大な病気や事故が起こってしまった時、もうひとつ大きな保険を子供にプレゼントすることができるとしたら、どうでしょう?
今回ご紹介したいのは「臍帯血(さいたいけつ)」という大きな保険です。
■「臍帯血(さいたいけつ)」ってなあに?
「臍帯血」とは、赤ちゃんとお母さんをつなぐ「へその緒」の中にある血液のことです。
この血液の中にある細胞は、体のどんな細胞にもなれるといういわゆる万能細胞のようなもの。つまり、血液をつくる細胞になったり、皮膚の細胞になったり、沢山集まれば臓器にもなれるのです。ただし、この分野の研究はまだまだ発展途上で、現時点で治療できるのは、主に血液の難病(血液のがんといわれる白血病や悪性リンパ腫、赤血球がなくなる再生不良性貧血など)です。しかし近年医学の発達が目覚ましい分野であることからすると、子供が成人する頃には、もっと治療できる病気が増えていると考えられます。
もうひとつ、臍帯血で大事なことは、その血液細胞が本人のものかどうかということ。細胞にはいくつも識別マークがあって、自分の細胞かどうかを見分けています。もし他人の細胞が体内に入ってきたと体が認識すると、総力で細胞を攻撃したり壊死させたりします。ですから、できれば本人の細胞か、それに近しい細胞が望ましいということになります。
■ チャンスは1回だけ!
赤ちゃんの臍帯血を採取することができるのは、一生に1回、生まれてくるときだけです。産科医が、それまでママと赤ちゃんをつないでいた「へその緒」を切断します。その切断したへその緒を絞って「臍帯血」を採取するのです。ママや赤ちゃんにはなんの痛みもなく、すぐに終わります。
採取は簡単で痛みも伴わない臍帯血保管。将来のために、赤ちゃんの臍帯血を保管してみませんか? もちろん私的な利用だけでなく、血液病を患っている患者さんを救えるチャンスでもあるのです。こんな有用な使い道のある臍帯血をみすみす捨ててしまうのは、もったいないと思うのは私だけでしょうか。
ただし、欧米諸国では臍帯血保存は一般的で産科医も慣れているのですが、日本では採取数がまだまだ少なく、医者や病院が不慣れな故に、うまく採取できなかったり、採取したあと放置してしまったり、バンク側の対応も365日24時間でなかったりと、せっかくの臍帯血を台無しにしてしまうという事故も結構あるようです。
なにを隠そう私も第二子を東京で出産したときは、臍帯血が放置されて保証期間をすぎてしまいました。
後編では失敗しない「臍帯血バンク」選びについて、その内容やかかる費用も含めてお伝えします。お楽しみに。
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