2015年9月13日の『朝日新聞デジタル』で、女性が加害者という家庭内暴力(DV)が取り上げられていました。家庭内暴力というと、夫が妻に、恋人同士の男性が女性に身体的、精神的な暴力、暴言を吐くという関係が多いようですが、男性が被害者のケースもあるのです。その割合は、2014年の調査では約10%で、2010年の2.4%とから4倍に増えました。男性被害者の場合、男のくせに女性から暴力をふるわれるなんて恥ずかしいという気持ちから、声をあげにくい問題があります。
母娘関係改善カウンセラーの筆者は、彼氏に手を挙げてしまう女性から相談を受けることがあります。
■ 父親が母親に浴びせる罵声が耳に残っている
新しい彼氏と出会いつきあい始めたのに、2、3カ月もすると相手の言動がいちいち気になりイライラする。声を荒げると彼氏がおびえた表情を浮かべるので、余計腹が立って物を投げつけるように。行動がエスカレートして、とうとう彼に手を挙げてしまった。そんなリアルな体験を話してくれたC子さん(25歳)は、幼い頃、父親が母親に暴力をふるうのを見てきたのだと言います。
C子さんが小学生の時、両親は離婚。ですが、今でも父親の怒声、母親の悲鳴が今でも耳に残っていると言います。C子さんの場合は、暴力が身近にあったのが幼い頃といっても、それがトラウマになっている可能性もあります。
また、言葉のやり取りを重ねるコミュニケーション力が育っておらず、感情を抑えきれない傾向があるようです。自分の感じていること、思っていることを言葉に置き換えて伝えるプロセスを飛ばし、怒りの感情がいっぱいになり、それが相手に対して暴力という形に出てしまうのです。
DV家庭で育った人が大人になったときに、全員が暴力をふるうわけではありません。自分が感じたことを言葉にして表現する力を養うことによって、コミュニケーションの方法が広がります。一方で、暴力に恐怖感がある、そんな自分に嫌悪感をもっている。自尊あるいは無力感が強い場合などは、自己肯定のワークショップに参加したり関連本を読む、またはカウンセリングを受けるなど検討されてはいかがでしょうか。
[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)]
【参考】
※『朝日新聞デジタル』「罵倒されても蹴られても…妻からのDV、口閉ざす夫たち」2015年9月13日
※ 写真:cba / PIXTA、本文とは関係ありません