安倍首相の女性活用推進政策や、世帯収入アップを理由として、出産後も働き続けるワーキングマザーが増えています。就業構造基本調査によると、母親の有業率が5年前調査に比べ、25~29歳で6.6ポイント、30~34歳で6.2ポイント、35~39歳で2.6ポイント、それぞれ上昇していることが明らかになりました。昔から「M型」と呼ばれる女性の就業率カーブですが、これまでM字の谷間世代とされている25歳~39歳の女性のワーキングマザー率が増えていることが統計上も明らかになりました。
働きながら育児と家事とを頑張る日本のワーキングマザー。睡眠時間は確保できているのでしょうか。調査結果をもとに考えてみます。
■ 調査から見る睡眠事情
1日あたりの睡眠時間を国際比較したOECDの調査(※1)によると、日本の女性の睡眠時間がOECD加盟国中で最も短いことが分かっています(日本女性7時間36分、次点韓国女性7時間42分、ほかの各国は8時間超)。他国より平均睡眠時間が短い原因として考えられるのは、ワーキングマザーの家事や育児時間を含めた1日の労働時間の長さだと思われます。中には、長時間労働者並みの12時間にのぼるケースもあるのです。
■ 女性は男性より眠りが必要
イギリス・ラフバラー大学睡眠研究センターの研究によると、女性のほうが男性に比べ平均20分多く眠りが必要とのこと。脳の働きとしてマルチタスク機能に優れる女性は脳内での様々な部分を使った活動が活発な傾向にあり、その分睡眠によって脳機能の回復を多くする必要があるからと考えられます。それにもかかわらず、女性のほうが平均して睡眠時間が短い現状になっています。
■ 女性が健康で活動できるために
味の素株式会社の調査(※2)によると、育児サポートが高い夫を持つワーキングマザーの平均睡眠時間は、サポートがあまりないワーキングマザーに比べ平均約30分長く寝ているというデータもあります。
睡眠不足は脳の働きを鈍らせ、さらには、うつ病・高血圧・心不全といった多くの病気につながるおそれがあります。女性が健康に家事育児・仕事を行うためには配偶者をはじめ、周りのサポートによって負荷を下げることが不可欠なのです。
[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]
【参考】
※1. Balancing paid work, unpaid work and leisure, OECD, 2014年7月3日
※2. 味の素株式会社「ワーキングマザーのストレスと睡眠に関する意識調査」2014年3月