フランスの女性の間で人気になり、日本でも注目されている「大人の塗り絵」。いまさら塗り絵かと侮れない、思わぬセラピー効果も期待できます。ストレスがたまりやすい現代社会に暮らす大人だからこそ注目してほしい「塗り絵」の効果についてご紹介します。
■ フランスの女性に人気「コロリアージュ」
日本に限らず多くの国で問題になっているストレスやメンタルヘルス。フランスでは、女性の就業率が8割を超えており、OECD加盟22か国の中で1位になっています(※1)。このフランス女性のストレス発散方法として多く使われているのが「コロリアージュ」。日本語の「塗り絵」にあたります。
■ ストレス解消・リラックス効果も
この塗り絵は、心理カウンセラーの筆者から見ても「アートセラピー効果」が期待できるといえます。誰しもが子供のころにやったことがあると思われる塗り絵を大人の今行うことで「懐かしさ」「ワクワク感」が現れます。そして、どのように色を付けていくかということを想像しながら手や目を動かす作業は、脳(特に五感)に刺激を与える効果もあります。
さらに、この塗り絵の図案の多くが幾何学模様など、「正解」の色がないものであることもポイントです。色鉛筆を使うのか、クレヨンを使うのか、ペンを使うのかなど、自分のその時の好みで使用する画材も選べますし、色の塗り方や選び方も自分で決めて行えます。同じ塗り絵の本を買って塗り始めても、AさんとBさんとでは出来上がりが全く違うものになるということも。
筆者がご支援している方にセラピーの一環として実施してもらったところ「塗り絵という単調作業をひたすら続けることで、これまでイライラしていたのが嘘のように心が無になっていった」と話していました。無心で没頭できることで、あれやこれやと余計なことを考える必要がなくなったことが幸いしたのでしょう。
いかがでしたか。PCやスマホの普及により「鉛筆を持たなくなった」という方も多いのでは。筆者が長年研究しているスヌーピーでおなじみの漫画『PEANUTS』の中にも、「人生は塗り絵みたいだ……毎日新しいページに新しい絵を塗っていくんだ」(※2)なんてセリフが登場します。久しぶりに新鮮な気分で、自分ひとりの「大人の塗り絵」に挑戦し、心を落ち着かせてみませんか。
[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]
【参考】
※1. 『HUFFPOST LIFESTYLE JAPAN』「働く女性の割合が1位のフランス 理由は「手厚い子育て政策」」2015年2月25日
※2. 『Peanuts Comic Strip』 May 05, 1997