ここ数年、マスコミで母娘問題を目にすることが多くなりました。また、このテーマの関連本も数多く出ています。テレビで偶然、母娘問題を目にした母親が、「私とあなた(娘のこと)は仲良しだから、こんな関係でなくてよかったわよね」と言ったりします。しかし、娘の中にはこう思う人もいるのです。「お母さんは何にもわかっていない」と……。
■“自分は娘とうまくいっている”と思い込んでいる母親が多い?
母娘問題専門にカウンセリングを行っている筆者のもとにも、同じような悩みのご相談は多く寄せられています。「子供の頃から母には苦しめられてきたから、母が大嫌いです。でもそれを言ったことはありません。母は私とうまくいっていると思い込み、友人にも自慢している。それがまた腹が立つのです」。この状況は娘にとって、相当ストレスフルです。
■母親にわざわざ嫌っていると言う必要はない? このモヤモヤは…
「『私はお母さんが大嫌い』と言ってみたい。でも、それを言ったら母親は驚いて悲しむだろう。きっと後悔する。罪悪感に苦しむかも」。
筆者のカウンセリングを受ける相談者さんの多くが、このように言います。一方で、母親の無自覚ぶりにも嫌悪感が募る。このジレンマこそが悩みの中心にあるのです。
こうしたご相談を受けると、筆者は「母親にあなたの気持ちを言ってもいいのでは?」と言うことがあります。「母親は何も知らず、あなただけ苦しいのは不公平では?」と。最初から「あなたのことは嫌い」とは言わず、「子供の頃にされたこと、言われたことが辛かった」だけでいいのです。すると「あら、そんな事言ったかしら?」とあっけらかんとしている母親が多いのです。
このような母親の態度は、本当に忘れているのか、それとも知らぬふりを決め込んでいるのかわかりません。なかには逆切れされることもありますが、それは娘の言うことが事実だからです。ともかく「母親が可愛そうだから言わない」。この考えは一度捨てましょう。結局、母親への嫌悪は続くのです。それならば、まず自分の思いの十分の1でもいいから、言葉にして言ってみましょう。最初の一歩は、思ったよりハードルは高くないはずです。
[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)]
【参考】
※ 文中の事例は、相談者様の同意を頂いたうえで紹介しております。
※執筆者:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)について。女性専用のカウンセリング『ボイスマルシェ』の登録カウンセラー。電話カウンセリングなので全国どこからでも利用できる、匿名で話せる、当日予約できるというボイスマルシェの特長を活かし、全国の女性たちから寄せられる母娘関係の相談にのっている。
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません