スーパーやホームセンターなどで、おもちゃやお菓子を欲しいと駄々をこねる子どもを見かけることがあります。子どもは真剣そのもので泣き叫び、なかには床に寝転んで大粒の涙を流す子もいます。子どもの「買って、買って」攻撃、親は大変ですよね。筆者はそんな場面に出くわすと、ついつい心の中で親御さんにエールを送ってしまいます。それにしても、子どもの「買って、買って」攻撃はどう対応したらいいのでしょうか?
■それぞれのシーンを見てみると
子どもが「おもちゃを買って」と言うと、親は頭ごなしにダメと言う。このようになると子どもの癇癪もひどくなる印象を受けます。誰だって頭ごなしに否定をされたら、気分はよくないものです。例えば、あなたが信頼する上司と共に転職をしようとしているとします。夫に話したところ、「転職するなんてもったいない。今の会社のままで十分なのでは」などと最初から反対をされたらどうでしょう。大人だったら、「まずは私の話を聞いて」と相手に伝えたり、話を少し変えたりすることはできますが、子どもは、大人に比べて感情表現の選択肢を持ちません。癇癪をおこしたり、床にひっくり返って泣き叫んだりするのも、仕方のないことですね。
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本当に買ってほしいのは、おもちゃではなく……
さて、本題に戻りましょう。子どもの「買って、買って」攻撃を見ていつも思うのですが、子どもが本当にほしいのは、おもちゃではなく、「おもちゃが欲しい」という気持ちを親にわかってもらうことではないでしょうか。実際に、親が「ダメよ」と言っている場合と、「そうか、このおもちゃが欲しいのね。あなたはこのお人形さんが好きなのね。でもね、今日は、おもちゃは買わないのよ」と言っている場面では、子どもの対応も違ってきます。子どもはどちらの場合でも「欲しい」と言っていますが、頭ごなしに否定をされた子どもの方が、癇癪がひどくなったり長くなったりしていませんか。人は、自分の気持ちをわかってもらえたら気分よくスッキリするものです。それは大人も子どもも同じです。
前述の転職の例でも「そうか、あなたは転職をしようとしているんだね。信頼する上司が転職するのだから、転職したいのだね。でも、僕は今の会社も十分にいいと思うよ」と言われたらどうでしょう。頭ごなしに否定されるよりも、さほどイヤな気分にはならないはずです。そして、あなたも夫に自分の気持ちを話しやすいのではないですか?
いかがですか? 子どもが本当に欲しいのは、おもちゃではなく親の共感だったりすることもあります。普段から親に感情を受容されて共感されている子どもは、精神的に落ち着いていて、癇癪を起しても割とすぐに治まる印象を受けます。子どもの感情を受容共感するということは、子どもの感情をリスペクトすること。誰でも自分の感情を否定されずリスペクトされるとうれしいのです。そして、それは子どもも同じです。
[執筆:久保木 惠子(乳幼児ママのサポートコーチ) ]
【参考】
※この記事の執筆者:久保木恵子(乳幼児ママのためのサポートコーチ)について。女性専用のカウンセリング『ボイスマルシェ』の登録カウンセラー。電話カウンセリングなので全国どこからでも利用できる、匿名で話せる、当日予約できるというボイスマルシェの特長を活かし、全国の女性たちの相談にのっている。一児の母。
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません