夫婦関係は「コミュニケーションがポイント」。そんなことはわかっているけれど、なんだかうまくいかない。話し合いを始めるとすぐにケンカになってしまう。そんな夫婦も多いかもしれませんね。
筆者の夫婦ペアカウンセリングの現場でも、夫婦間で意思疎通が測れなかったり、勘違いや思い込みをしていることが少なくありません。夫婦間の会話のズレ。なぜ、そうなってしまうのでしょうか。
目次
■ 「確認型応答」で誤解のないスムーズな会話を
いつも一緒にいる夫婦だからといって、すべてを理解し合っているわけではありません。価値観や性格も異なるからこそ、思いやりの心をもって上手に会話したいものです。
今回は、筆者が以前、夫婦間トラブルや育児に悩んでいたときに学んだ会話法を紹介します。
「自分の考えは相手もわかっていると思って言葉を省略しがち」
「曖昧な言い方や聞き手の思い違いなどが、会話のトラブルに発展する」
「とくに夫婦間は会話を省略しがちなので、誤解や思い違いが生じやすい」
そう話すのは、「対話法研究所」(※1)の浅野良雄所長です。対話法研究所では、会話のトラブルを防ぐ<対話法>を考案し、対話の際の「確認型応答」を推奨しています。「確認型応答」とは、自分の考えを言う前に、相手が言いたいことの要点を、相手に言葉で確かめる確認作業のことです。
■ 「反応型応答」と「確認型応答」の対話例
自分の意見を言ったり、質問したりする一般的な応答が「反応型応答」。
要点を相手に確かめる応答が「確認型応答」です。
例1)
「今日の帰りは何時頃になる?」
<普通の反応型応答>
「〇〇時くらいかな」
「いつもと同じ○時頃だよ」
<好感を持たれない反応型応答>
「何時になるかわからないよ」
<確認型応答>
「帰宅したら、今日は何かあるの?」
「今日は早く帰って来てもらいたいのかな」
例2)
「今度のお休み、一緒に買い物に行ってもらいたいんだけど…」
<普通の反応型応答>
「今度の休みはちょっと難しいな」
「うん、わかった。いいよ」
<好感を持たれない反応型応答>
「先週も一緒に行ったじゃないか」
<確認型応答>
「何か手伝ってもらいたいことがあるの?」
「今度の休みに大きな買い物でもあるのかな」
(例1)の場合、妻が、単純に夫の帰宅時間を知りたい場合もあれば、夫の帰宅後に、相談事がある場合もあります。ですが、妻の言葉だけでは真意はわかりません。確認することで、妻は相談事があれば話しやすくなります。
「相手の発言について、自分の理解や推測が合っているかどうかを確認することで会話がスムーズになり、誤解や伝達ミスを防ぎ、信頼・安全・能率が向上します」と浅野所長。
夫婦関係がうまくいっていないと感じている方は、ぜひ取り入れてみてください。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※1.「対話法研究所」1994年に、浅野良雄所長が、カウンセリング理論などを基に、トラブルを防ぐ会話術<対話法>を考案。医療現場や高齢者施設などで利用されている。
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません