職場や友達の中に、突然機嫌が悪くなる人がいます。不機嫌モード満載だったり、当たり散らされたり。こういう人を見ると、自分で自分の機嫌くらい取ってくれと本当に思いますね。
では、あなた自身は自分の機嫌を自分で取れていますか?
今回は自分の機嫌の取り方と、他者の機嫌に振り回されない方法を心理カウンセラーがお伝えします。
そもそも機嫌が悪いってダメなことなの?
自分の機嫌を他者に取ってもらおうとしている人はまだまだ子供で、自分で自分の機嫌を取れるのが大人だと考える人は多いと思います。そこからさらに進んで、機嫌が悪くなるのはそもそも感情のコントロールができない人だと考えます。では機嫌が悪くなる状況を考えてみましょう。一つには、他者から不快な事を言われたり、理不尽な事をされたり、嘘をつかれたり、裏切られたりしたときのように、他者が原因のものがあります。もう一つは、自分の思い通りに物事が進まなかったり、能力が追いついていなかったり、予期せぬ嫌なこと悲しいことが起こったり、生理前や更年期など自分が原因のものもあります。どちらにしても、ネガティブな感情が自然と出てきます。それはある意味正常な心の動きなのです。感情が出ることがダメなのではなく、不快な感情を「不機嫌」という手段で態度に出して、他者に何とかしてもらおうとすることが問題なのです。
機嫌が悪くなる状況を避ける
自分の機嫌の取り方として、まず機嫌が悪くなる状況を避けるという方法があります。予期せぬものは仕方がありませんが、どのようなときに不機嫌になりやすいか考えておき、前もって対処しておきましょう。また、ちょっとしたことを我慢する癖のある人は、小さなストレスが積もりに積もった時、何かが引き金になって突然不機嫌になることがあります。この場合は、こまめにストレスを発散するか、我慢せず相手に自分の考えを伝えることが、不機嫌になる状況を避けることになります。
機嫌が悪くなったときはどうする?
では、自分の機嫌が悪くなったとき、どのように自分の機嫌を取ればいいのでしょうか。自分の機嫌が悪いときに機嫌を取るわけですから、不機嫌なまま自分の機嫌を取ることになります。そういうときによく頭の中で繰り返される言葉が「なぜ?」「なんで?」です。この言葉は、他者や自分を責め立てる感情を強くしてしまいます。頭に血が上った状態なので、「なぜ?」の答えがすぐには出てこず、ずっと「なぜ?」「なんで?」が繰り返されるだけになります。ですので、「なぜ?」「なんで?」という言葉は使わず、「私は何に困っているんだろう?」「私は何に怒っているんだろう?」と、自分の状況を言語化していきましょう。
一度冷静になって自分の状態を俯瞰してみると、対応が可能なものか、自分ではどうすることもできないものかがわかります。対応が可能なものは具体策を考えていきます。自分がどうすることもできないものは、そこに執着しすぎても自分が疲弊するだけです。その場をいったん離れたり、思い切ってひとりでドライブに出たり、美味しいものを食べたりと自分流の気分転換を図りながら、不快な感情を手放していきます。また自分ひとりでは気分転換が難しそうであれば、誰かに話を聞いてもらうこともおすすめです。この場合、話をすることで気持ちや考えを整理することが目的になります。感情が高ぶっているときにただ愚痴を吐くのは、相手に機嫌を取ってもらうことになりかねません。いったん落ち着いたとき話を聞いてもらって、自分の気持ちや考えを整理していきましょう。
他者から機嫌を取らされそうになったときの対処法
他者から不機嫌オーラを浴びせられたとき、自分にもし落ち度があれば、その事柄に対しては謝罪を行います。自分がしてしまった言動や行動と、相手の感情は区別しなければなりません。相手の感情はあくまでも相手のものなので、こちらがコントロールできないからです。
ただ、この不機嫌モードを巧みに使って、相手を自分の意のままにしようとする人がいます。自分が不機嫌になるたびに暴れる子供のような人もいますが、こういうタイプの人とは、相手との境界線がわりと引きやすくなります。大人の冷めた目で見ると、相手の不機嫌が小さく見えてきます。親でもないので子供の世話はしなくていいと考えましょう。
もう少し巧妙に機嫌を取らせようとするタイプの人もいます。言葉では優しいことを言っておきながら、態度は不機嫌モードを出すという、言葉と態度を分けるタイプの人や、いつ不機嫌になるか、その地雷がわからないタイプの人がいます。どちらも不機嫌にさせたおまえが悪いという態度で向かってくるので、自然と自責感でいっぱいになり支配されてしまいます。ビクビクしたり、ヘラヘラする態度を取ってはいけません。相手の機嫌は相手に返して突き放す強さも必要です。それでも機嫌を取らせようとするのであれば、距離を取って逃げてください。心が壊れる前に自分を守ることが最優先になります。
[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]
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