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ネット依存になっていませんか? 依存3タイプと対策
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ネット依存になっていませんか? 依存3タイプと対策

現代では、インターネットはもはや生活とは切っても切り離せないインフラとなりました。コロナ禍で在宅勤務や外出を控えたこともあり、ネットを長時間利用する人が増えています。ネット依存にならないために、今からできる対処法を心理カウンセラーがお伝えします。

 

ネット依存の3つのタイプ

ネット依存は3つのタイプがあります。

「コンテンツ依存」…動画やユーチューブ、音楽サイト、ネットの書き込みなどを長時間見続ける。
「ゲーム依存」…オンラインゲーム、スマホゲームを隙間時間や作業中にながらプレーをする。
「つながり依存」…SNSなどで繋がった人とコミュニケーションする中で、関係を続けるためにやめられなくなる。

また、WHOの新しい国債疾病分類(ICD-11)では、「ゲーム症/ゲーム障害」が正式な疾病と認定されました。

 

「好き」と「依存」の違い

いわゆる「好きすぎ」と「依存」との違いはどこにあるのでしょうか。「好きすぎ」の状態は、注意されるとやめることができたり、自らもやめようと思えばやめられる状態です。ところが「依存」の状態になると、自分ではやめたくてもやめられない状態になります。

 

ネット依存の状態になるとどうなるのか

「ネット依存」の症状としては、無意識にスマホを触っている、注意されるとイライラして攻撃的になる、使用時間や内容に関する嘘をつく、遅刻や欠勤が増える、昼夜逆転になるなどが出てきます。やめられない状態なので、食べない、眠らない、動かないことが増えていき、身体的に影響が出たり、意欲の低下など精神的な影響も出てきます。

脳にも大きな影響を与えます。脳の前頭前野(社会的、理性的な判断に関わるところ)の機能が低下し、衝動や感情のコントロールができなくなります。さらに大脳基底核(報酬系の回路に関わるところ)のバランスが崩れ、より強い刺激を求めるようになります。またネット依存になると、うつ病や睡眠障害、社交不安障害など二次障害も併発しやすくなります。

 

ネットに依存する要因

昨今では、30代40代の働き盛りの大人にもネット依存が多く見られるようになりました。この年代の人は仕事や家庭のストレスを抱えやすく、また将来への不安も持っています。日々の生活のなかで、なかなか充足感や安心感を得られないので、すぐに手が出せるネットに依存してしまいます。さらに今は仕事でもネットを使わなければいけないことが多く、仕事の情報収集とプライベートでの使用の境界線が曖昧になったことも依存に向かう要因になっています。またコロナ禍による孤独感の強まりも、ネットに依存しやすくさせました。

 

ネットに逃避する自分を変えるには

少しだけと思って見ると、数時間経っていたという経験はありませんか? 今はまだ依存とまではいかないけれど、何かあるとネットに逃避する癖がある人は注意が必要です。対処策を考える上で、自分がネットに逃避するトリガーを知っておくことが重要になります。トリガー、つまりネットに逃避する「きっかけ」があるはずなのです。

 

ネットに逃避するトリガーを見つけて対策を

トリガーには内的トリガーと外的トリガーがあります。

内的トリガーとは、自分がイライラしている時や落ち込んでいる時、悩んでいる時や、現実逃避したくなる時、何があったかを思い出してください。自分と向き合い、何に過敏に反応するのか分析しておきましょう。

外的トリガーとは、ネット上に現われる興味のある広告バナーや関連する記事リンクや漫画、SNS通知など、つい見たくなるものです。広告や通知はかなり考えられているものなので、調べ物やネット購入している途中でどんどん脱線してサイトを追いかけてやめられなくなります。ネットは体を使うことが少ないので疲れないと思われがちですが、次々にネットサーフィンしている状態は、ずっと頭を使っていることになり、脳の疲労が蓄積され続けます。

子供のネット依存は親が気づきやすいのですが、大人はまわりがそこまでチェックしてくれず、また依存は否認の病でもあるので、自分はいつでも止められる、と自分に甘くなります。自分がどの程度ネットに逃避しているか、いつもの一日の記録を取ってみましょう。自分の行動を客観視すると、自分が思っていたより長時間ネットを使っていることがわかります。不必要なところで使用し続けたトリガーを見つけ出し、のめり込まないような対策を事前に考えておくことが大切です。

今の時代、ネットを完全に遮断することはできません。いつでも使えるからこそ、その状況で自主的に行動をコントロールできるように自分でルールを決めておくことをおすすめします。規則正しい生活をすることで、不調になったときのサインに気づきやすくなります。そして少々面倒くさいと思うかもしれませんが、リアルな人間関係の再構築が現実に生きている感覚や不安の軽減に繋がっていきます。「依存ではない」、そう思っている今だからこそ、もう一度自分を見直してみましょう。

どのような対策をしてもやめられないときは、依存症の相談窓口や専門医療機関に早めにご相談ください。

[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]

※画像:beauty-box / PIXTA(画像はイメージです)

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