保育園が決まり、この春、復職されるママも多いと思います。この時期、復職するママから相談される内容の一つとして、「こんな小さい子を預けて働くなんて……母親として失格?!」という相談を受けます。「3歳までは母親の手で子育てをするべき」という3歳児神話に縛られて、保育園に子供を預けることを後ろめたく思っている方が多いようです。
■ 3歳児神話は「母親」に限定した話ではない!
しかし、実はこの3歳児神話は高度経済成長のために、男は外で企業戦士として働き、女は家庭を守るといった固定化された性別役割分担をして合理的に経済成長をするためにつくられたものだということはご存知でしょうか?
3歳児神話はイギリスの精神科医 ボウルビィが発表した「3歳未満の発達初期に精神的な障害を受けた子は生涯その傷を癒せず、後々まで社会的不適応行動を形成する」という愛着理論がルーツとなっています。しかし、ボウルビィの説は「母親」の愛情とは限定していないのに、日本では恣意的に利用されて母性神話が助長され、「母親とは、こうあるべき」と苛まれるママたちが多いのです。
■ 保育園に子供を預けることの好影響とは
筆者も二人の子供を保育園に預けながら子育てと仕事をしており、乳児を預ける不安は理解できます。しかし、相手は保育のプロ。特に保育園はキャリアカウンセラーの視点から見ても、核家族の現代においてさまざまな人と触れ合えることで、乳幼児期から社会性を身につけることができ、より多様な価値観に触れられる、そして自立が早いなど、子どもにとって好影響をもたらしていることが多いと感じます。
アフリカには「子ども一人育てるには、村中の人が必要」という諺があるそうです。筆者の経験からも、さまざまな人の手を借りながら子育てしたほうが、ママが笑顔でいる時間が増えると思います。
保育園の詳しい過ごし方については拙著『まるごとわかる保育園』(※)にも詳しく描かれていますので、ぜひご参考になさってください!
[執筆:小倉 環(キャリアカウンセラー)]
【参考】
※小倉環, カツヤマケイコ (2014)『まるごとわかる保育園』自由国民社