■ 単身赴任者100万人時代の中で、家族の絆は
毎年3月になると、人事異動があり単身赴任の生活を始める人もいます。日本では配偶者がいる単身者は100万人といわれています(※)。年代別にみると30代は15万人台ですが、年齢が高くなるにつれて増加し、50代では33万人に。夫が30代の場合は、子供が小さいため家族で転勤先に引越す可能性が高くなります。しかし子供が大きくなるにつれて、学校や進学事情などにより、夫だけが赴任するケースが増えるようになります。
週末だけ父親が帰宅する、あるいはお盆や正月など年に数回過ごすなど、父親不在の期間が長期化するのは仕方ないことなのでしょうか。
■ 社会人になって同居、父親とのコミュニケーションは?
仕事によっては、子供が社会人になるまで父親の単身赴任が続く家庭もあります。数年ぶりに戻った父親にしてみたら、成人した子供との生活は初めてであり、仕事の帰りが遅い娘を心配するあまり声を荒げてしまうこともあります。
一方、娘は残業で深夜帰宅など当たり前だったのに、叱られるとその存在を疎ましく感じることも。母娘関係改善カウンセリングを行っている筆者のところには、父親に対する悩みで来られる娘さん、または父娘の関係悪化を危惧する母親から相談を寄せられることも多いのです。
金融会社勤務のA子さん(25歳)は、小学校2年のときに父親が単身赴任で外国に移住。思春期も一緒に過ごす機会が少ないまま、社会人になりました。その後、帰国して一緒に暮らすようになった父親が、毎晩終電で帰るA子さんを咎めたことに対して、思わず叫んでしまったと言います。
「子供の頃からほとんどいなかったくせに、今になって私を怒る権利なんてあるの!?」と。その後も関係が険悪なまま、週末はできるだけ顔を合わせないようにしていると言います。
生活のペースがすでにできているところに、ずっと不在だった父親との同居が始まると、気を遣うことも多くストレスにもなります。しかし父親の方でも、自分の居場所を何とか作ろうとしているのです。同居が始まって衝突しても、やり直しは何度でもできるはず。まずは週末、父親とコーヒーでも飲みながら、学生時代のアルバムを見るなどしてみてはいかがでしょうか。
[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー)]
【参考】
※ 日本リサーチ総合研究所「増加するシニア単身赴任」2014年3月28日