■ なぜ兄弟ばかり贔屓するのか?
「母親は兄(または弟)ばかり大事にして娘の私のことはいつも後回し」。
母娘関係改善カウンセラーの筆者は、娘さんからこうした相談を受けることがあります。「お母さんは、お兄ちゃんの言うことは何でも聞いてあげる」「弟のことは叱らないで甘やかす」。娘として「なぜ?」と思いながら成長しますが、その状況は大人になっても依然として変わらないままのようです。
社会人の息子が実家に帰るとお寿司をとるなど歓待されるのに、娘はといえば顔を見せた途端に家の手伝いを頼まれ、あげくに父親の愚痴まで聞かされ、「何? この違いは」と悔しい思いを何度となくしている娘さんも多くいます。
■ 息子への思いは母親の片思い?
昔から、母親は息子を、父親は娘を可愛がると言われてきました。女性ライフサイクル研究所による、母親と息子の関係に関するアンケートでは、興味深い結果が出ています(※1)。
まず母親に対しての質問「母と娘の関係と、母と息子の関係はどんな風に違うと思いますか」に対し、「息子は愛する対象、息子は溺愛しそう、セクシャルな面が加わる(異性愛を投影する)、理想の男性を求める、ファンタジー」などの回答がありました。さらに「異性としての夢の代行(母が女性という性差で果たせないことに対して)」といった回答も。息子の存在は、母親にとって異性を意識する対象になるのでしょうか。
一方、息子のほうでは、「思春期、母親に対して思っていたことはどんなことですか」という問いに対して、「うっとおしい、関わりたくない、過干渉」や、「自立心が壊される、自立できないもどかしさ」「ゆとりがない、自分に甘えてる」といった母親を否定する回答が見られます。もちろん、感謝や相談役だったと肯定的な回答もありましたが。
アンケートの結果から母親と息子の関係を断定するのは無理がありますが、母親の息子に対する片思い? という傾向もうかがわれます。このような母親の心情を知っておくと、娘として少し心の余裕をもって、母親に接することができるのではないでしょうか。
[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー) ]
【参考】
※1. 女性ライフサイクル研究所, 窪田容子『女性ライフサイクル研究』第10号(2000)掲載「母親と息子の関係-フェミニズムの視点から」