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「青」色の神秘、色彩心理が教えてくれる本当の自分
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「青」色の神秘、色彩心理が教えてくれる本当の自分

■ 青色の色彩心理とは?

「青色」を示す漢字は、色の数と同様に沢山存在しますが、それぞれの意味の違いをご存知でしょうか?

  • 青… 晴天の空や海の色、若い・未熟さを表す
  • 紺… 青よりも落ちつき、制服の色を表す
  • 蒼… 青々と繁る、年代を経たという意味にも
  • 藍… 着物や和の色、植物から抽出される青
  • 碧…「みどり」とも言われ、美しい石の色を表す

一般的に用いられる青を中心に、漢字の使い分けによって、繊細な心理の表現も可能です。

 

■ 六月に感じる「青」

作家の井上靖は青色について自らの詩『六月』(※1)で、「海の青が薄くなると、それだけ、空の青が濃くなってゆく」と詠い、海と空が交わる水平線辺りの色の変化によって、目には見えない6月の存在を捉えています。

「海の青が薄くなると、それだけ、空の青が濃くなってゆく。
街に青のスーツが目立ってくる。
それに従って、山野の青が消えてゆくのだ。
六月――、移動する青の一族。
その隊列を横切るために、私は旅に出なければならぬ。」
― 井上靖 『六月』より

 

読む者も自然が描く青のグラデーション表現から、氏が目にしたであろう春から夏へ向かう一瞬を感じます。「青色」への好感度と日本人に共通する感性がもたらす良い例でしょう。

 

■ 色彩が心理を導いてくれる

季節の移ろいには境目はありません。けれど色にフォーカスすれば、それに刻まれた感覚によって記憶にしっかりと刻まれます。色彩と丁寧に向き合うほどに感性には幅と深みが増し、色の記憶をツールにして井上靖氏のように正確に人へ伝えることもできるのです。

何気なく記憶に留めている色にもこのように意味があるので、気になる色へ想いを馳せてみると意外な事実に辿り着くかもしれません。心理カウンセリングにおいても、今までモヤモヤしていた感情が、ある時何かと結びついてハッキリとした輪郭で捉えられるという瞬間があります。

6月は空や海、水辺にも目を向け、青に向かって問いかけをしてみませんか? 自分だけの青が答えを導いてくれるはずです。

 

人生において大切な答えを得るためには、無地のキャンバスに色彩を重ねるように少しずつ丁寧に感情と向き合う…この姿勢がお薦めです!

[執筆:桜井まどか(美エイジング(R)心理カウンセラー)]

 

【参考】
※1. 日本ペンクラブ電子文藝館, 井上靖『北国』より「六月」

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