2015年3月、NPO法人マタハラNet代表の小酒部さやかさんが米国国務省の「勇気ある女性」賞を受賞しました。これを受け、日本でも妊娠や出産を理由に不当な扱いや嫌がらせをする「マタハラ(マタニティハラスメント)」への社会的関心が一気に高まりました。日本では働くママが増えたとはいえ、妊娠中や育休明けの社員への対応に不慣れな会社がまだ多数を占めます。本コラムでは、もしかしてマタハラ? と思った時の相談先や相談方法について解説します。
■ マタハラかどうか判断が難しいケースが多い
法律では、妊娠・出産を理由とした解雇や降格は違法とされています。解雇や降格はマタハラとして明白なケースですが、マタハラと言い切れるかどうか微妙なケースも多々あります。例えば、育休明けに以前と同じ業務を希望していたのに、本人にとって本意ではない業務へ配置転換されてしまった場合。これはよくあることでマタハラに該当しないケースも多いのですが、会社としてなぜ配置転換が必要なのかを分かりやすく説明できないと、労働者からはマタハラと訴えられてしまうことも。
■ 悩んだら、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談してみよう!
マタハラとは言わないまでも、育休明けの人事評価や短時間勤務中の待遇などで不満を抱える働くママは少なくありません。そんな時には、厚生労働省の出先機関である都道府県労働局の総合労働相談コーナー(※1)に相談されることをおすすめします。行政の立場から、冷静なアドバイスをもらうことができます。場合によっては、労働者と会社の関係を取り持つ、助言や指導、斡旋などのサービスも受けることができます。これらの制度はすべて無料で利用できますし、匿名での相談も可能です。
会社とのトラブルというと、「労基署(労働基準監督署)」が頭に浮かぶ方が多いようなのですが、労基署は会社側に明らかな法令違反があった場合に指導・監督を行う機関です。マタハラかどうか自分では判断が難しい場合は、まずはお住まいの各都道府県にある総合労働相談コーナーに電話してみましょう。
[執筆:椎葉 怜子(働き方コンサルタント/キャリアカウンセラー)]
【参考】
※1. 総合労働相談コーナー
※写真:わたなべ りょう / PIXTA、本文とは関係ありません