夫婦問題に特化したカウンセリングを行う筆者のもとに寄せられるご相談で、最近気になるのが、配偶者の行き過ぎた行動に関する内容です。
■ 「心穏やかな生活を送りたいのに……」
車内、駅構内での盗撮や痴漢行為やアブノーマルなセックスといった「性癖」、パチンコ、競馬などにはまり生活に支障をきたしてしまうほどの「ギャンブル依存症」、アプリゲームやオンラインゲームなどで時間を浪費する「ゲーム依存症」など、おもに夫側の困った行動に悩む、妻からのご相談が増えています。
「いつまでも夫婦仲良く過ごしたい」
「家族みんなで幸せに暮らしたい」
「心穏やかに不安のない生活を送りたい」
結婚を考えたとき、誰もが当たり前に願う結婚生活です。それなのに、その幸せがはるか遠いものになってしまったという絶望感……。
「どうして、私ばかりがこんなに苦しい思いをしなくてはならないの」
「父親としての責任感がなさすぎる」
「多感な年頃の子どもたちに示しがつかない」
これまで、家族のため、家事に育児に頑張ってきただけに、一番頼りたい夫からの裏切りにも似た行為に、「もう離婚しかない」とまで思い詰める妻が少なからず存在し、「誰にも相談できない」と一人悶々と苦しんでいます。
■ 規制や縛りが多い今の日本
どうして、このような状況が生まれてしまうのでしょうか。
筆者は心理学の専門家ではないので、詳細はわかりかねますが、生育歴や病気による個人的な理由や原因だけでなく、社会的な影響もあるのではないかと感じています。
どんな仕事も大変ですが、いまの日本の生活はあまりにも「ゆとり」や「遊び」の部分が不足しているのではないでしょうか。昔は、いい意味で寛容な部分が多くありましたが、現在の日本は、規則や縛りが多くなるばかりで、ますます大変な状況を生んでいます。
周囲の社会人の話を聞いてみても、多忙ゆえに常に追いつめられた緊張状態が続いているような印象を受けています。
■心を閉ざしても苦しくなるばかり
主にに30代に多いのですが、結婚、住宅ローン、子育て、仕事と次々にのしかかる重責は大変なものです。もちろん、法律に触れるような言動は罰せられるべきですが、こうした窮屈な状態から逃れられず、鬱積した感情のやり場が、ねじれた形で噴出しているような気がしてなりません。
カウンセリングを受けることで、すぐに解決する問題ではありませんが、「誰にも言えない」と、心を閉ざしても苦しさ辛さは増す一方です。
配偶者のこと、自分のこと、子どものことなど……、決して一人で抱えきれるものではありません。信頼できる心強い味方を作り、辛くて不安な気持ちを吐き出すことで、少しでも心が軽くなることを願っています。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]