予防接種は、乳幼児を持つ親が一番初めに直面する問題かもしれません。0歳児が受ける予防接種は一般的に6種類。複数回接種するものもあり、接種回数はなんと15回にわたります。費用は公費負担で無料のものもあれば、有料のものも。「どれを受けたらいいの?」「予防接種の副反応はないのか?」「そもそも受ける必要があるのか?」など。筆者も子供の予防接種について随分と悩みました。
■ 予防接種の副反応とは?
保護者が乳幼児の予防接種を躊躇する大きな理由の1つとして、副反応があげられます。予防接種の副反応とは、予防接種により起きる有害事象のこと。小児科医の金子光延氏は、著書『こどもの予防接種 知っておきたい基礎知識』のなかで予防接種の副反応ついて、このように語っています。
“局所の腫れなどの軽い副反応は少なくはないが、アナフィラキシーや神経障害をともなうような重大な副反応はまれにおこる。”(※1)
予防接種の副反応はまれであるといっても、重大な健康被害をもたらす可能性があるのですから、これは親にとっては大問題です。
■ 予防接種は総合的に判断する
副反応の話をすると、どうしても恐怖が先立つもの。しかしながら、副反応のみにフォーカスし、予防接種を受けない判断を下すのは時期尚早です。包括的に実態を把握し、判断する必要があります。
具体的には、予防接種のデメリットのみならず、メリットも把握しておきましょう。予防接種のメリットとは、命に関わる重篤な病気にかからない、罹患率が下がる、免疫力がつくということが考えられます。一方、デメリットは副反応で健康被害が出ることでしょうか。実際に、金子医師はその著書の中でこう語っています。
「予防接種の副反応を考えるとき、その副反応の重大さと頻度、そしてその予防接種によって予防できる感染症の重大さ、そしてその予防接種の効果といったいくつかの因子について、そのバランスを考えなければなりません。その予防接種がどれだけ重要で必要なのか。副反応の有無も重要ですが、まずその予防接種がどれだけ必要なのかが大切なのです」(※2)
■ 正しい知識を得る機会が大切
上記のように、予防接種は副反応のみならずその効果と重要性も加味して総合的に判断することが大切です。しかしながら、一般の人は予防接種の知識を持ち合わせておらず、判断材料が足りません。そしてその正しい知識を得る機会も皆無といってもいいのです。
役所から郵送される予防接種の案内に、予防接種の内容や効果、副反応に注意事項等がA4用紙裏表に記載されています。紙切れ1枚で十分な知識が得られるわけがありません。
接種する小児科でも説明はほとんどせず、「お知らせの紙は読みましたか? 質問はありますか?」と医師から聞かれ、医師は子供の健康状態を診察し接種するのが現状です。予防接種は大切な子供の命に関わることです、これでいいのか疑問を感じます。
正しい知識を得る機会が欠落しているのが現状なのです。
筆者は接種医がじっくり時間をかけて、予防接種のメリットデメリットを包括的に説明する必要があると考えます。予防接種は保護者が正しく理解して納得することがまずは大切なことなのです。
予防接種に関して疑問や不安を感じているけれど相談できる小児科医がいない、という方は、金子光延医師の著書『こどもの予防接種 知っておきたい基礎知識』はお勧めです。予防接種について平易な言葉でわかりやすく説明されており、医学の知識がない筆者でもすんなりと理解ができました。小児科医に相談する為の、プレ知識をつけるためにもお勧めです。
[執筆:久保木 惠子(コーチ)]
【参考】
※1. 金子光延(小児科医)(2010)『こどもの予防接種―知っておきたい基礎知識』大月書店, pp.89より引用
※2. 同上, pp.90より引用
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません