あなたが「幸せだなあ」と感じる時は、どんな時ですか? 人生を過ごしてきた中で、一番幸せだったと思う時期は何をしていた時期でしょうか? 今回は、人生を幸福に過ごすために研究され明らかになってきた「幸せの因子」についてご紹介しましょう。
■ 幸せの4つの因子とは?
1つめは「自己実現と成長」です。自分が成長することができ、それが実感できるような行動をしているとき、夢ややりがいを持ち、それに向かって進んでいくとき、人は幸せを感じることができます。
2つめは「つながりと感謝」です。人を喜ばせること、愛情あふれる交流、親切な行動を行ったり、されたりするときに、人は他の人とつながっているんだ、自分は一人ではなく、多くの人からいろんな愛情を受けているんだ、自分も社会の役に立っているんだ、と幸福感に満たされます。
3つめは「前向きと楽観」です。自分には良い所がある、自分が組織や家族などの中で大切にされている、必要な存在だと思える自己肯定感が高く、自分が行動していくことで物事は良くなっていく、これから夢や目標は実現していける、自分はできる、と思えることは幸せにつながります。
4つめは「独立とマイペース」。自分らしく、他の人と比較せずに、自分のペースでやっていけるということも幸福感をもたらします。
■ 地位や収入は?
さて、この4つの因子を見て「お金や地位、成功」といった経済的豊かさはどうなの? と思った方もいるのではないでしょうか。実は、研究では、こういった豊かさは幸せを短期的には作るけれども長続きしないことが分かってきています。心理学者で行動経済学者のダニエル・カーネマンによると、7万5000ドル(日本円で800万円弱)までは収入と幸福感は比例しますが、それを超えると両者は比例していかないとのこと。人は「お金のみ」では幸せにはなれないのですね。
■ あなた自身の4つの因子を振り返ろう
最後に、あなた自身の現在、4つの幸せの因子の満足度はどのようになっているか、現状を考えてみましょう。この4つの因子は、いずれもあなたの心の持ちようや、行動の仕方によって変化させていけるものばかりです。例えば、自分に役立つような勉強をしてみる、意識して仕事にチャレンジしてみる、人を気遣い親切にする、いつも笑顔で感謝を日記に書いてみる、自分の夢を語ってみる、「自分は自分」と考え他の人を気にしない、などあなたがもっと欲しい行動を早速実行してみてはいかがでしょうか? きっとあなたの満足度、幸福度が高まっていくことでしょう。
[執筆:渡部 幸(コーチ/キャリアコンサルタント)]
【参考】
※1. 前野隆司(2013)『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』講談社現代新書