子育てが始まると、今までのように、仕事に時間とパワーを割くことは難しくなります。子どもの為にキャリアを捨てなくてはならないのか? 今まで積み重ねてきたキャリアは何だったのか? 子育てに対して、ネガティブな感情が湧き上がってくる時もあります。頑張ってキャリアを積み重ねてきた方だからこその葛藤なのかもしれません。
キャリアママ達は、葛藤をどう乗り越え、道を切り拓いているのでしょうか。今回は、筆者のもとにカウンセリングに訪れたA子さんの例をご紹介いたします。
■ キャリアとママ業の間で
A子さんは30代後半の会社員です。大学卒業後金融業界にてキャリアを積み重ね、管理職となり、ひとつの部署を統括するキャリアウーマン。現在は育休中ですが、応募した保育園は全て落ち仕事復帰は未定です。復職のめどが全くたたない中で「今まで努力して積み重ねて来た私のキャリアはなんだったのか」と焦燥感にかられる時もあると言います。
「キャリアを諦めて育児をしなくてはいけない」と育児に対する義務感が大きくなれば大きくなるほど、「この子の母親は私しかいないのに」と子どもへの罪悪感も比例して大きくなる。キャリアと母親業との間で苛まれ、八方塞がりのA子さんでした。
■ 「あなたにとって、仕事で大切なことは何ですか?」
仕事への情熱に溢れたA子さん。「何を求めて仕事をしているのか、仕事を通じて得られるものはなにか」。カウンセリングで、A子さんの仕事の価値観を紐解いていきました。「なぜ今まで頑張ってキャリアを積んできたのか」「どうしてこれほどまで仕事をしたいのか」。 仕事復帰することばかりで焦っていましたが、カウンセリングを受けることで、少し立ち止まり「私は本当はどうしたいのか」を考えるいい機会になったとのこと。A子さんは、カウンセリングの最後に「壁にぶつかる時は、自分の人生を見直すいいチャンスですね。いい転機になりました」とにこやかにおっしゃっていました。
カウンセリングはクライアントさんにとって、「気づき」と自らの道を「選択」していく場、いわば自らが持つ羅針盤を起動する場です。あなたの羅針盤はあなたが本当に進みたい道を、ちゃんと示してくれます。答えはいつも内にあるのですから。
[執筆:久保木 惠子(コーチ)]