卒業や転居、異動など、3月は別れの季節でもあります。別れには涙がつきもの。「泣くことなんてみっともないことだ」と思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、実はメンタルヘルスの観点からみると、泣くことは大切なのです。
■ 涙とストレス
涙には大きく3つの種類があります。
・目にゴミが入った時などに出る涙
・乾燥などから目の表面を保護するための涙
・悲しかったり嬉しかったり、感情が高ぶった時に出る涙
3つ目の感情が高ぶった時の涙には、「コルチゾール」と呼ばれる成分が含まれることが分かっています。コルチゾールは持続的にストレスを感じた際に分泌され、うつ病などの原因になることから、通称ストレスホルモンとも呼ばれています。涙を出すことによって、このストレスホルモンも一緒に出せることになります。
「泣いてスッキリした」という経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。実際に研究でも、泣くことで自律神経のひとつである、リラックスするときに強く働く副交感神経の働きが活性化することが判明しています。つまり、泣きたいと思った時は無理に我慢するよりも、思い切って泣いてしまったほうがストレスをためずに済むのです。
■ もちろん、笑うことも大切
「笑う門には福来る」と昔から言われます。笑うことで精神的にリラックスでき、ストレスもたまりづらいからです。笑っている人のところには人が集まりやすいということも挙げられるでしょう。
「そんなこと言われても、楽しいことがないから笑えないよ」というあなた。笑顔になることで出されるドーパミンなどの「やる気ホルモン」は、作り笑顔でも分泌されることが分かっていますので、形だけでもいいので笑ってみましょう。フランスの哲学者アランも著書の中で「幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」と述べています。
■ 感情は我慢せずに、表に出す
スヌーピーでおなじみの漫画「PEANUTS」。1979年5月13日作(※1)では、主人公チャーリー・ブラウンが、「心の相談室」ブースに相談にやってきた様子が描かれています。
精神科医(に扮している)ルーシーは、チャーリー・ブラウンに対し「怒りを外に出さないでいるのはよくないわ」とアドバイスしています。怒りだけでなく、泣きたいときは思い切って泣く、笑いたいときは大きな声で笑うなど、感情を抑え込まず表に出すことが、ストレス解消につながるのです。
[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]
【参考】
※1. PEANUTS(Charles Schulz 1979.5.13)
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません