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「和解離婚」が上昇傾向に 夫婦関係カウンセラーが考察
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「和解離婚」が上昇傾向に 夫婦関係カウンセラーが考察

夫婦問題に特化したカウンセリングを行っている筆者ですが、相談内容はひとつとして同じものはありません。年齢や結婚年数によっても異なり、離婚に関する調査では、時期や地域などによって差があることもわかっています。ここでは、統計データをもとに検証してみました。

 

■ 離婚届けの提出は3月が多い

厚生労働省発表の『離婚統計』(平成 21年度)(※1) によると、「届出月別にみた離婚件数」(平成20年)では、もっとも多い割合 10.3%を示す月は「3 月」となっており、離婚届は、1年のなかで 3月が一番多く提出されています。

その理由として考えられるのが、3月は年度末であることです。日本では、学校や会社の多くが期末を3月に定め、入学式や入社式などを4月に設定しています。進学や就職、転職、引越しなどを控え、年度末までに「離婚届け」を提出し、心身ともに再スタートを切りたい、という心理が働くのだと思います。

離婚となると、必要に応じて、氏名変更、転居届け、住民票の移動など諸々の事務手続きをしなくてはなりません。筆者のクライアント(相談者さん)も、「3月までに」と考えて行動に移す人が少なくありません。

ちなみに、離婚届けの提出が一番少ない月は7.0%を示す「11月」でした。

 

■ 新たに設定された「和解離婚」が上昇傾向に

離婚には、「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」「和解離婚」の5種類があります。

夫婦での話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停員に入ってもらい協議離婚の調停を行います。調停が成立しない場合は裁判となり、判決によって離婚が成立します。また同統計の、昭和 25 年以降の離婚の種類別構成割合の年次推移をみると、「協議離婚」の割合は 昭和25 年の95.5%から 昭和37 年の 90.7%まで低下しており、平成 15年以降は低下し、平成20 年は 87.8%となっています。

「和解離婚」とは、裁判の途中に離婚条件に折り合いをつけ、双方が合意して離婚すること。裁判の手続き中でも、合意があれば、裁判官が判決を下す前に離婚を成立させることができます。「和解離婚」は、平成 16 年に施行されましたが、裁判が長引くことによる精神的・時間的負担が軽減されるメリットがあることから、毎年上昇傾向を示しています。

 

■ 同居期間別に見た離婚の年次推移

「同居期間別に見た離婚年次推移」(昭和25年~平成20年) によると、「同居期間」が5年未満の割合が一番高く、次に「5~10年」「20年以上」「15~20年」と続きます。

筆者の行うカウンセリングも、結婚5年以内のクライアント(相談者さん)が多く、結婚後の夫婦のあり方、会話の仕方について悩んでいる実状があります。つくづく、夫婦は「コミュニケーション」が大切なポイントだと感じています。

[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]

 

【参考】
※1. 厚生労働省『離婚に関する統計』(平成21年度)

※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません

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