結婚する際は婚姻届を出し、新しい戸籍を作ります。これから夫婦で新生活をスタートさせる! そんな意識が高まりますよね。よく、結婚することを「入籍する」と表現する人がいますが、正しくは「新戸籍を作る」となります。すでにある誰かの戸籍に入るのではなく、結婚によって新たな戸籍を作ることになるからです。
■ 夫婦別姓のメリットとデメリット
日本では外国籍の異性と結婚しない限り、夫婦別姓は法律上で認められていません。約96%が、妻となる女性が改姓しますが、男性が妻側の姓を名乗るケースもあります。
意外と知られていませんが、免許証や個人番号カードなどは、戸籍姓と旧姓の両方が記載できます。自己申告制なので必要なら申し込むといいでしょう。
現在、別姓でも結婚可能とする「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」(法務省の呼称・一般的には夫婦別姓制度)が検討されていますが、夫婦別姓となった場合のメリットとして、まず、運転免許証やパスポート、銀行口座などの煩雑な氏名変更の手続きが不要になります。姓の呼称も変わらないため、結婚したことをあえて公表したくない方にとってプライバシーの確保がしやすくなります。
デメリットとしては、家族で姓が異なり、家族全員が同じ姓とならないこと。対外的に夫婦・家族として認識されにくい、などが挙げられます。
「夫婦別姓制度」は選択制なので取り入れてもいいのではないかと筆者は考えますが、あなたはどうお考えでしょうか。
■ 離婚したら、戸籍はどうなるの?
離婚すると、戸籍筆頭者(通常は男性側)が戸籍に残り、女性は除籍し、以前の戸籍に戻り旧姓となります。旧姓に戻る女性側が子どもの親権をもつ場合は、子どもと姓が異なるので、離婚と同時に「子の氏名変更」の手続きをしましょう。
筆者の場合、離婚時に子の姓の変更届をせず、しばらく親子で名前が違う不便な生活を送りました。後に自分の姓を変更する申立てと親子の新戸籍を作ることで、ようやく子どもと同じ姓・同じ戸籍になったという経緯があります。やはり知識は大切ですね。
■ 子連れ再婚すると、戸籍はどうなるの?
女性が再婚する場合、再婚相手の男性が未婚なら、新しく独立した夫婦の戸籍を作ります。
子連れ再婚の場合は、子どもは以前の籍に残ったままとなるので、再婚相手と「養子縁組」の手続きをします。同時に「子の氏の変更許可申請」を行うことで、子どもと同じ戸籍、同じ姓となり、戸籍謄本には「養父」と「養子」として記載されます。
再婚、再々婚となると、戸籍謄本の状況は複雑です。氏名をどうするのか安易に判断せず、家族でしっかり話し合って決めたいものです。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません