夫婦問題に特化したカウンセリングを行っていると、この世の中で“夫婦関係”ほど難しい関係はないかもしれない、そんな思いを強くします。
血の繋がっていない他人でありながら、一番近しい存在。自分のことではないのに、自分のことのように気になる、気にしてしまう存在。ケンカをしても、いつの間にか元の鞘に戻る腐れ縁。かと思えば、ほんの些細なことで、一生縁を切ってしまいかねない儚い関係。
奥深いからこそ、夫婦関係はおもしろいのかもしれません。
■ 判断力、思考力、自己肯定感が低下する
カウンセリングの現場では、「私は離婚した方がいいのでしょうか」という問いがよく寄せられます。ですが、筆者の知人からは「自分の気持ちがわからないなんて…」「自分のことなのに、どうしたらいいかを他人に聞くの?」という声を聞いたことがあります。
悩みの最中にいる人にとっては、カウンセリングを受けたくても、以下のような思いに陥りやすくなります。
「何をどう質問していいかわからない」
「自分の悩みをどう説明したらいいかわからない」
「そもそも、自分がどうしたいのかわからない」
他人のことは客観的に判断できても、自分のこととなると冷静にはなれないものです。筆者も離婚について悩んでいたとき、考える力が薄れていくことを実感しました。判断力・思考力が落ち、同時に自信を失い、自己肯定感も低くなりました。
■ 心のサポートの必要性
心の問題はとてもデリケートで、法律だけでは解決しません。たとえば、弁護士に依頼し、高額な慰謝料を請求できたとしても、心がスッキリ晴れやかになるとは限りませんし、住まいや家財を売却し精算したからといって、すべてが解決するわけではありません。法律問題と同時に、メンタル面もサポートする必要があります。一人きりで考えることには限界があり、自分だけでは気づけないこともあります。また、結婚生活は相手のあることなので、一方のみで問題を解決するのは困難です。
■ メンタル面の支援の方法はさまざま
メンタル面の支援には、カウンセリング、コーチング、セラピー、心理療法などがあり、すぐ涙が出たり、食欲がなかったり、寝られないなど身体の不調がある場合は、心療内科 (メンタルクリニック)をはじめ、健康や栄養の観点からの治療方法があります。
そして、カウンセラー、コーチ、セラピスト、臨床心理士、診療内科医、栄養士など、心の問題を扱う各分野の専門家がサポートしています。筆者の場合は、夫婦関係・離婚を専門とするカウンセラーです。
心と身体はつながっています。悩みが長く続くと、同じことをグルグル考え、無限ループに陥りやすくなります。悩みが深刻化する前に、早めに専門家と連絡をとることをお勧めします。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません