もうすぐ七夕の季節です。七夕といえば七夕飾り! 子供の頃、短冊にいろんな願い事を書いたのではないでしょうか。大人になると、ゆっくり短冊を書くこともなくなりますよね。でも七夕だからこそ、自分と向き合うのもいいかもしれません。時間に追われてスルーしがちな自分の本当の気持ちを、ちょっと立ち止まって見つめ直し短冊に書いてみませんか? 今回は七夕の短冊を使って、「自分の本当の気持ち」を見つけ出す方法を心理カウンセラーがお伝えします。
1.短冊に願い+気持ちを書こう
もし今、七夕の短冊に願い事を書くとしたら、何を書きますか? 健康で過ごせますように、英会話が上達しますように、お給料が増えますように、恋人ができますように、病気が早く治りますようになど様々だと思います。このような願い事は、自分がこうなってほしいなという欲求に近いものですね。今年はこのようないつもの願い事に加えて、自分の奥に眠っている本当の気持ちを書いた短冊を作りましょう。ではどうやって書いていくかをお伝えします。まずは自分の心に向けて次のように問いかけてください。
2.大事な人に伝えたい気持ち
あなたの大事な人を思い浮かべて下さい。パートナーや親、子供、親友、片思いの相手、飼っているペットなど、自分が大事にしたいと思う人などです。その人たちに向けてどんな願い事を書きますか?
・いつまでも夫婦円満で過ごせますように。
・(子供が)好き嫌いがなくなりますように。
・家族みんなが元気でいつまでも仲良く過ごせますように。
そんな願い事が出てきそうですね。
では今一度、「なぜそう思ったの?」と自分に問いかけて下さい。たとえば、最近パートナーの仕事が遅く、帰ってきても疲れた顔で会話もあまりない状況があって「夫婦円満で過ごせますように」と書いたのなら、「なぜそう思った」のでしょうか? もう少し私の話も聞いてほしいと思ったのかも知れません。では「なぜそう思った」のでしょう。もう自分への愛情がなくなったのではとの不安からかもしれませんし、会話もできないくらい疲れているパートナーの心身の健康が心配だからかもしれませんね。
それなら、「いつも忙しくて疲れているあなたのことがとても心配、私にとって大事な人だから元気でいてほしい」という気持ちを書き添えます。
「(子供が)好き嫌いがなくなりますように。」という願い事なら、「なぜそう思った」のでしょう。「元気で丈夫に育ってほしい。自分のやりたいことをやれる人生を送ってほしい」という気持ちが出てきたら、それも書き添えておきます。
「なぜそう思った」のか、突き詰めていくと大事な人だからこそ伝えたい言葉が出てきます。ぜひ、その言葉も書き添えておきましょう。
3.自分に向けて伝えたい言葉
自分の願い事も書いてみましょう。
・転職が上手くいきますように。
・ダイエットに成功しますように。
・毎日笑顔で穏やかに暮らせますように。
自分の願い事はたくさん出てきそうですね。
“願い事”ということは、現状ではまだ叶っていないということでもあります。そうなればいいなという思いはあるのだけど、上手くいかなかったり、挫折したことかもしれません。そこには、自信がなかったり、不安になっていたり、自分には無理だと思い込んでいたり、ストレスで心身が疲弊していたりする自分がいます。
頭では願っていても、心の奥では自分を否定した言葉を自分にかけていませんか? 短冊に書く願い事は、自分自身への期待の気持ちも含まれます。そんな自分に向けて、労り応援する言葉を書き添えておきましょう。
「出来る人に見せなくても、等身大の自分をそのまま出せば大丈夫!」「べき思考で自分を追い込んでない?」「自分が楽をすることも楽しむことも大事だよ!」
このように、そういう自分への労りや応援の言葉を考えることが、「自分を大事にする」ということに繋がっていきます。
4.「気持ち」を言語化する意味
普段、私たちは自分の気持ちをいちいち言語化していません。相手に対する要求や、あれが欲しい、あそこに行きたいなどの欲求、なぜこうなったか、あの人はどういう人なのかなどの分析、あれをしないとというタスクをいつも考えています。そこには、必ず感情も付随しているのですが、日常ではそこはあまり意識して触れません。
しかし、ずっと自分の気持ちをスルーし続けると、自分は本当はどう思っていたのか、どんな気持ちだったのかがわからなくなります。だから時には自分の気持ちを言語化していくことも必要なのです。
いつもは面と向かっていいにくい言葉でも、短冊(文字)で伝えることができます。素直な気持ちを伝えることで、お互いの気持ちを確認でき、より信頼と愛情が深まる効果があります。また自分を否定する癖がある人は、自分自身を労り応援する短冊を見ることで、思考の癖を改善していくことができます。
本来の七夕の由来からは外れているかもしれませんが、こういう季節の行事ごとを上手く取り入れ、毎日の心の健康に役立てていきましょう。
[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]
※画像:木の葉 / PIXTA(画像はイメージです)