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力の抜き方がわからない…うまく力を抜く方法
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力の抜き方がわからない…うまく力を抜く方法

仕事をいつも全力で頑張る人は、まわりから「もっと肩の力を抜いたら?」と言われることがあります。実は本人も、もう少し力を抜いて楽になりたいと思っているのです。しかし何をどうしたら力が抜けるのかがわからず、いつも120%で仕事をします。ずっと全力疾走していたのでは、いつか無理が出てきて心身を壊しかねません。今までの評価を落とさず、より楽にやれるような力の抜き方を、心理カウンセラーの筆者がお伝えします。

 

力が抜けない人ってどんな人?

力の抜き方がわからず、いつも120%で仕事をしている人は、とても責任感が強く、完璧を求めます。「君なら安心して任せられるよ」と上司に言われたら、より一層力が入ります。そして力が抜けない人は他者に頼むのがとても苦手です。自分の仕事を押しつけている気がして罪悪感を感じます。また他者に頼んで不安になるくらいなら、自分の頑張りでカバーしようとするので、残業も厭わず、お昼休みも仕事をする時があります。根が真面目な人に多く、人から期待されると、どうしても過剰適応します。仕事中心の生活になっている人が多いのですが、さらに趣味にも120%打ち込む人もいます。仕事も趣味も楽に気負わずやっている人を羨ましく思うのですが、自分にはできないと思っています。

 

なぜ力を抜きたくても抜けないの?

本人もこのペースで行くとまずいなと思っています。もっと楽に仕事がしたいとも思っています。それなのに力が抜けないのは、他者の期待に対して過剰適応しているためで、その信頼を裏切ることを最も怖れているからなのです。また、自分が力を抜くと、何にでも手を抜くようにならないか、自分自身に対する不安が出てきます。具体的には、期限や約束を守れなくなるのでは?、人に迷惑をかけてしまうのでは?、やる気のない人に見られるのでは?、気分屋と思われるのでは?、という不安です。今まで積み上げてきたものが一気に崩れそうな気がして、なかなか力を抜くことができません。さらに完璧主義なところがあるので、楽をしている自分が許せないと思います。

 

今の「力を抜く」イメージを変えよう!

力を抜く、もしくは肩の力を抜く、というのは、本来は力んだ状態から力を緩めるイメージです。上記に書いたような不安が出てくるような力の抜き方というのは、全てにおいて力を抜くイメージです。つまり、弛んでいる状態になります。弛んでいる状態とは、全てにおいて力が入っていない、または必要なところに力が入っていない状態です。そして力が抜けていない力んだ状態というのは、必要のないところまで力が入っているということです。弛んだような「力を抜く」イメージを「力を緩める」イメージに変えていきましょう。緩んだ状態というのは、必要なところにはきちんと力が適度に入っていて、必要のないところには力が抜けている状態を言います。「力を抜く」ということに対し、必要なところは力を入れて必要のないところには力を入れない、というイメージを持って下さい。

 

力を緩めるコツ

力を抜く、つまり力を緩めるためには、必要なところには力を入れなければなりません。しかし初めての仕事や慣れない仕事は、どこが必要でどこが必要でないかがわかりません。ですから、初めのうちは全てを一生懸命やることには問題はありません。その後、少し慣れきた頃には完璧を目指さず、80%、60%、40%などの基準を設けて仕事をしてみましょう。それと同時に、他者に少しずつ頼む練習も行っていきます。30代くらいから部下を持つようになってきますが、今まで自分一人の力で何とかしてきた人は、部下を持ち始めると行き詰まってくることが多くなります。他者に任せることも仕事なのです。練習のコツとしては、いきなり頼むのではなく、日頃から話しやすい関係性を作っておくことが重要です。

また自分の仕事を、集中して取り組む時期と、それほど力を入れずに維持して行く時期、という風にある程度長期的なスパンで捉えておくといいでしょう。力を抜くためには、メリハリをつけた方が力を抜きやすくなります。また、力を抜く=休むではなく、力を抜く=頑張らず維持できる、が心理的にも罪悪感なく力を抜けます。仕事をしている時は休むイメージを作らないのですが、反対にプライベートでは完全にOFFモードに切り替えます。休みの日も頭のどこかで仕事や職場のことを考えていては、心を緩めることはできません。心に余裕を持たせることで、仕事もプライベートも肩の力が抜けて楽になっていきますよ。

[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]

※画像:PIXTA(画像は本文とは直接関係ありません)

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