最近、「副業としてカウンセラーを始めたいのだが、どうしたらいいでしょうか?」という声をよく聞くようになりました。
心の時代ともいわれる今、心理学やキャリアに関する学びを深め、自分の経験を誰かの支えにしたいと考える方が増えていることは、とても心強く感じます。
とはいえ、「資格は取ったけれど、どうやって始めればいいの?」「副業として本当に成立するの?」と迷われる方も多いのが現実です。
筆者は2012年に女性向けオンライン相談サービス『ボイスマルシェ』を立ち上げて以来、数多くのカウンセラーの方と出会い、サポートしてきました。そこでこの記事では、筆者が事業運営のなかで見えてきた「副業でカウンセラーを始めるときに、まずやるべきこと」を5つにまとめてご紹介します。
※本記事で扱う「カウンセラー」とは、医療行為を前提とする心理療法の提供者ではなく、相談者の人生やキャリアの課題解決を支援するキャリアコンサルタントや心理カウンセラーなどを指します。
目次
1. 「何について相談にのれるか」を明確にする
カウンセラーとして副業を始めたい方の多くが、最初につまずくのが「自分にはどんな悩みに対応できるのかが分からない」という点です。
心理系の資格を持っていても、「何に悩む人の力になれるのか」を具体的に言葉にするのは意外と難しいもの。
まずは、自分が乗り越えてきた経験や、人から相談されることが多いテーマを棚卸してみましょう。
たとえば「職場の人間関係に悩んだ経験」「育児と仕事の両立で葛藤した体験」「自己肯定感の低さと向き合った日々」など、日常のなかにヒントは必ずあります。
ただし、副業としてカウンセラーをやりたいのであれば、有料で相談される内容を見つける必要があります。友人知人にも話せる内容、NPOや公的機関で無料で相談できる内容は、当然ですが、人はわざわざお金を払ってあなたに相談しません。無料相談やボランティアとは違う、あなたが提供できる価値はなんですか?
2. 「どのような形で活動するか」を選ぶ
副業として活動する場合、本業とのバランスやライフスタイルとの調和が欠かせません。
対面カウンセリングを行うには場所や時間の確保が必要ですが、オンライン相談や電話相談なら柔軟なスケジュールでの運用が可能です。
また、個人で活動するか、プラットフォームに登録するかも大切な選択です。
前者は自由度が高い一方で集客力が必要になります。後者は集客や決済の仕組みが整っているため、未経験者にとっても比較的始めやすいという利点があります。
自分の生活に合うスタイルで無理なく続けられること。これが、副業を続ける上で最も重要なポイントです。
3. 「プロフィール」に“共感の接点”をつくる
カウンセラーとして副業を始める際、プロフィール文の書き方に悩む方も多いです。
ここで大切なのは、「自分は何を学んできたか」よりも、「自分のセッションを受けるとどのような変化が得られるか」という価値の言語化、そして「どんな想いでこの活動をしているか」「どんな人に寄り添いたいと思っているか」という“共感の接点”を丁寧に表現することです。
資格名や職歴、実績数だけではなく、「過去にどんな悩みを抱えていたか」「相談を受けて感じた喜び」など、自分の言葉で語ることで、相談者との距離が一気に縮まります。そして、実際にあなたのセッションを受けてくれたクライアントからの評価/レビューがあれば、クライアントの許可をとって記載すると予約促進につながります。
4. 実践経験を少しずつ積み重ねていく
資格を取った直後や、副業で始めたばかりの頃は、「本当に私に相談してもらっていいのだろうか」と不安になることもあるでしょう。
その気持ちは自然なことです。
最初のうちは、友人や知人に練習セッションをお願いしてもよいですし、モニター相談を通じて実践経験を積むこともできます。
また、よくある相談テーマへの対応を事前に考えておくことで、初回セッションへの不安を減らすことができます。
「経験を通してしか得られない気づき」は、必ず次のステップにつながります。
5. 「完璧じゃなくてもいい」と知る
副業でカウンセラーを目指す方のなかには、「まだ経験が足りないから…」「もっと勉強してからでないと…」と、始める前から自分にブレーキをかけてしまう方が少なくありません。
でも、大切なのは“完璧であること”ではなく、“誠実であること”です。
たとえば、目の前の相談者の話にしっかり耳を傾け、「一緒に考えさせてください」と向き合う姿勢があるなら、それだけで十分な価値があります。
私がこれまで見てきた多くの副業カウンセラーたちも、最初は皆、不安のなかで一歩を踏み出していました。
その一歩が、誰かの支えになったとき、自分自身の“存在価値”を実感できるようになるのです。
おわりに
副業でカウンセラーを始めるという選択は、人生を豊かにする“もうひとつの軸”を育てることでもあります。
資格や知識も大切ですが、何より必要なのは、「誰かの力になりたい」というあなたの想いです。
そして、迷ったときには、同じように歩んできた先輩や、プラットフォームの仲間たちとつながることで、安心して歩みを進めていくことができます。
あなたの最初の一歩が、誰かの人生をあたたかく照らす灯になりますように。
※画像:jessie / PIXTA(画像はイメージです)