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【夢分析】夢に出てくる「懐かしい人」、それは再会の願望?それとも?

【夢分析】夢に出てくる「懐かしい人」、それは再会の願望?それとも?

祖父母、旧友、元恋人…“あの人”が夢に現れるとき、心の奥では何が起きているのか?

「もう何年も会っていないのに、夢に出てきた」。
そんなふうに、ふいに“懐かしい人”が夢に現れることはありませんか? もう会えない人や、連絡をとっていない昔の友人、かつて好きだった人…。夢から覚めたとき、胸の奥がじんわりと温かかったり、少し切なかったりする感覚を味わったことがある方も多いのではないでしょうか。

お盆や帰省の時期が近づくこの季節。心のどこかで「ふるさと」や「過去の記憶」に触れることが増える今こそ、夢の中に現れた“あの人”が、どんな意味をもっていたのかを、少しだけ立ち止まって考えてみませんか?

懐かしい人が夢に現れるとき

夢の中には、いろいろな人が登場します。
中でも印象に残りやすいのが、「懐かしい人」。たとえば、子どものころに可愛がってくれた祖母、仲のよかった小学校時代の親友、疎遠になってしまった兄弟、あるいはもう会うことはないと分かっている元恋人など…。その人たちは、今はもう自分の生活にはいないはずなのに、夢のなかではまるで昨日のように、自然に話しかけてきたり、笑い合ったりしています。

ときには、亡くなった家族が夢に現れ、「元気にしているの?」と声をかけてくることも。そんな夢から目覚めた朝は、どこか不思議な感覚に包まれ、言葉にできない余韻を引きずることがあります。

夢の中の再会は、果たして単なる“偶然”なのでしょうか。それとも、私たちの心が、何かを伝えようとしているのでしょうか。

夢は、記憶ではなく“感情”からつくられる

夢に出てくる人は、必ずしも“その人自身”とは限らないと言われています。心理学では、夢は「記憶」ではなく「感情」から構成されると言われることもあります。

たとえば、祖母の夢を見たとき。それは、祖母その人に会いたいという思いもあるかもしれませんが、同時に「無条件に愛されていた」「安心して甘えられた」という感情が、今の自分に必要であることを知らせてくれているのかもしれません。

元恋人が夢に出てくるのも、恋愛感情の名残とは限りません。「あの頃の自分の感情」「未完了の想い」あるいは「今の孤独感」が、その人の姿を借りて夢に現れている可能性もあります。

夢の中の相手は、実は「過去の自分自身」や「今の心の声」の投影である──というのが、現代の夢分析におけるひとつの考え方です。

再会の願望?それとも、心の整理?

夢の中で懐かしい人と再会したとき、あなたはどんな気持ちでしたか?
うれしかった?少し困惑した?それとも、何か言い足りない思いが残りましたか?

このような夢が教えてくれるのは、「その人にもう一度会いたい」という願望よりも、「その人との関係性や記憶を、心の中で整理したい」という無意識の動きかもしれません。

亡くなった家族が出てきたときは、心の中で何かの節目を迎えている合図かもしれません。「ありがとう」と伝えられなかった後悔、「もっとこうしてあげたかった」という思い。夢は、そんな気持ちを“もう一度受け取る”場として、機能しているのかもしれません。

また、過去の友人や元恋人が夢に出てきた場合は、過去の自分と向き合いたいという気持ちの表れとも考えられます。たとえば、「あのときは本当は、もっと自分らしくいたかった」「相手に合わせすぎていたかもしれない」──そんな気づきを、今の自分が必要としているのかもしれません。

夢からのメッセージを、今を生きる力に

夢の中で懐かしい人と再会するのは、決して後ろ向きなことではありません。むしろ、心が過去と今をつなごうとする、大切なプロセスです。

たとえば、こんなふうに夢を振り返ってみてはいかがでしょうか。

  • その人がどんな表情をしていたか
  • 自分は夢の中でどんな気持ちだったか
  • 目覚めたあと、どんな感情が残っていたか

そこには、今のあなたに必要な“感情”や“視点”が、さりげなく含まれているかもしれません。

また、夢に出てきた“あの人”への想いを、手紙に書いてみるのも一つの方法です。もちろん送る必要はありません。言葉にしてみることで、自分の中にあった感情や想いが、少しずつ整理されていく感覚が生まれるかもしれません。

夢に出てくる懐かしい人は、心の中の灯り

夢の中で出会った“懐かしい人”は、あなたの心の中に今も息づいている大切な存在です。

会えなくても、話せなくても、その人との時間は確かにあなたの一部となって、今を生きるあなたを支えてくれている。そう思うと、夢に出てきたこと自体が、心の奥からの“優しいメッセージ”なのかもしれません。

この夏、ふるさとや過去を思い出す機会があったら、夢の中で出会ったあの人のことも、そっと思い返してみてください。きっと、今のあなたに必要な“気づき”が、そこにあるはずです。

[執筆:嘉納 夢子(夢診断アドバイザー)]

※画像:zak / PIXTA(画像は本文とは直接関係ありません)

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