■ 10年で2倍に急増、女性のアルコール依存症
アルコール依存症の女性が急増しています。平成25年7月に厚生労働省研究班が国内のアルコール依存症の人数を調査を実施したところ、推計で約109万人という結果が出ました(※)。とくに顕著なのが女性で約14万人、ここ10年で2倍近い増加です。
女性のアルコール依存症の特徴は、男性に比べ短期間で依存症になる、うつや自殺未遂など精神的な問題を抱えているという傾向が指摘されています。しかし、治療が必要にもかかわらず受けていない人が多く、対応が懸念されているのです。
■ アルコール依存症の母親をケア
母娘関係改善カウンセラーの筆者の所に来られるクライアント(相談者)の中には、中高年の母親がアルコール依存ではと疑い相談に来られる方もいて、最近はその数が少しずつ増えています。傾向としては、娘が仕事などで独立、または結婚して実家を離れ、夫との会話がほとんどないまま、孤独をまぎらわすために飲み始めるといった母親が多いようです。
たまに実家に帰った夕食時、あれだけお酒が苦手と言っていたはずなのに缶ビールを次々と空ける母親を見て、愕然とする娘。しかし、同居していないので毎日見張るわけにもいかず、事態が深刻になることも。母親は家族にばれるのが嫌で、部屋にお酒を隠すこともあるそうです。娘にしてみれば、母親がアルコール好きになってしまった理由がわからないのですが、もしかしたら夫婦の仲がうまくいっていないのかもと疑いをもち、こうなると父親に相談することができません。
母親にいきなりお酒をやめさせることは無理かもしれませんが、時間をつくって話を聴いてあげることはできます。また、同居家族のサポートが不可欠で、父親と協力しながら様子を見るべきです。母親の心のケアを、娘だけが一身に背負うのは避けた方がいいでしょう。なぜなら、母親が娘に依存する恐れがあるからです。
母親本人が自分の心の問題を見つめるために、カウンセリングなどを受けるのが理想ですが、嫌がる可能性もあります。このような場合は、一緒にカウンセリングを受けることを提案してみましょう。また、家族としてどのようなアプローチができるのか、アルコール依存症や自助グループに関する情報をインターネットや本で入手するところから始めてみてはいかがでしょうか。
[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー)]
【参考】
※ 『産経ニュース』「アルコール依存症で治療必要…109万人 厚労省研究班推計」2014年8月26日