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残業、月100時間超による心身への悪影響とは?
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残業、月100時間超による心身への悪影響とは?

厚生労働省は、労働環境が劣悪な「ブラック企業」のうち、違法残業が複数の事業所で行われている大企業について、早期是正を促すため書類送検前でも企業名公表に踏み切ると2015年5月15日発表しました(※1)。具体的には、月100時間超の残業が相当数の従業員の間で行われ、おおむね1年の間に3か所以上の支店・営業所が是正勧告を受けた場合、企業名を公表するというものです。今回はこの公表の対象として挙げられている「月100時間超の残業」に関して取り上げます。

 

■ 「月100時間超」となったワケ

まず月45時間以上の残業があると、心身の健康障害のリスクが徐々に高くなることが知られています。そして「発症前の1ヶ月間に100時間」または「2~6ヶ月間の平均で月80時間」を超えるとさらに健康障害のリスクがあがります。これらのデータを踏まえ、厚生労働省の今回の発表にもつながっているものと思われます。

5月12日の記事でも、心症患で亡くなった当時47歳の男性について、過労死として労災認定されたニュースが紹介されていました。男性は会社側と合意の上裁量労働制で働いており、正確な労働時間を会社側が把握していなかったものの、遺族が男性の労働実態を立証、発症前1ヶ月の残業が133時間と判断したそうです(※2)。

 

■ 睡眠時間減少による心身への影響

月100時間の残業ということは、1日あたり約5時間平均となりますから、通勤時間が片道1時間だとしても16時間くらい(1日通常勤務時間8時間+時間外労働5時間+通勤時間往復2時間+休憩時間1時間)は会社関係で拘束されるわけです。残りの時間から食事時間を除くと、睡眠時間は5時間以下になってしまう可能性が高くなります。

睡眠時間が減少することで、体を十分にリラックスすることができなくなります。その状態が慢性的となると、脳心血管障害、糖尿病、肥満といった心身への悪影響として現れることがわかっています。

 

残業自体が即心身への影響ということではありませんが、結果として睡眠時間が確保できなくなることが心身への影響へつながるのです。このような残業による負の連鎖を断ち切るため、厚生労働省の指導が少しでも功を奏すことを願います。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]

 

【参考】
※1. 『時事通信』「ブラック企業名、早期公表=送検前でもー厚労省」2015年5月15日
※2 毎日新聞「過労死:裁量労働の男性認定…東京の労基署 遺族側が立証」2015年05月12日
※写真:(c) alicephoto / 123RF.COM、本文とは関係ありません

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