結婚の形が多様化しています。今回は「国際結婚」について調べてみました。
■ 国際結婚の割合は再び増加傾向に
厚生労働省の人口動態統計によると(※1)、日本人と外国人の「国際結婚」は、1970年には年間5,000件ほどでしたが、1980年代の後半から急増し、1990年代に入って年間2万件を超え、2005年には4万件を超えました。2006年には全婚姻件数の6.1%を示すピークとなっています。2007年からは9年連続で減り続け、2016年以降、再び増加傾向にあります。2018年は2万1,852組で、前年から3.5%増加。全体の婚姻件数における国際結婚の割合は3.7%を示しています。
■ 国際結婚すると戸籍はどうなるの?
日本では、国際結婚をしても基本的に国籍も氏も変わりません。世界の一部地域では、結婚と同時に自動的に国籍が付与される場合があります。自分を筆頭とする新しい戸籍が作られ、相手の外国人の氏名・生年月日・国籍が記載されます。
外国人の氏を名乗りたい場合は、婚姻の日から6か月以内に、「氏の変更の届出」を提出すれば、外国人配偶者の氏に変更することができます。6か月以上経過した場合でも、家庭裁判所の許可が得られれば、氏の変更は可能です。(※2)
■ 日本は「ハーグ条約」加盟国
日本人同士でもままならないことが多い結婚生活。ましてや、外国人との暮らしは、文化や生活習慣の違いなどからスムーズにいかないこともあるでしょう。外国で生活する場合は、言葉の壁や慣れない土地での暮らしなどで孤立感に苛まれることもあるようです。
日本は「ハーグ条約」(2014年締結)に加盟しているので、夫婦間の同意がないまま、子どもを連れて気軽に日本に帰ることはできません。一時帰国でも「子どもの連れ去り」として犯罪者扱いされるケースもあるので要注意です。
・ハーグ条約の仕組み
外務省のHPより(※3)
“ 国境を越えた子の連れ去りや留置は、子にとって、それまでの生活基盤が突然急変するほか、一方の親や親族・友人との交流が断絶され、また、異なる言語文化環境へも適応しなくてはならなくなる等、有害な影響を与える可能性があります。そのような悪影響から子を守るために、原則として元の居住国に子を迅速に返還するための国際協力の仕組みや国境を越えた親子の面会交流の実現のための協力について定めています。”
日本人と外国人の間の国際結婚・離婚に伴う子どもの連れ去り等に限らず、日本人同士の場合も対象となります。
外国の文化を知り、視野が広がるなどメリットの多い国際結婚ですが、最悪のケースも視野に入れて、法律についてよく調べておく必要がありそうです。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参照】
※1. 厚生労働省「人口動態統計」
※2. 法務省「国際結婚,海外での出生等に関する戸籍Q&A」
※3. 外務省「ハーグ条約と国内実施法の概要」令和2年11月17日
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません