2011年、20代~39歳までの女性に対して行われたモバイルアンケートの結果(※)では、「母親が一番の親友」という問いに「あてはまる」(「ややあてはまる」も含める)と答えた割合は、37.7%。約4割の女性が、母親と「親友」レベルの関係にあると認めていることになります。
親友といえば、仕事や恋愛、人間関係など、さまざまな悩みも打ち明けられる人、と解釈していいのでしょうか。それだけ、密接につながっている母娘が多いといえます。
母娘の仲が良ければ、親子、家族の幸せではないかというと、確かにその通りなのですが、つながりが深ければ深い程、“共依存”になりかねない危険性もはらんでいます。
■ “共依存”とは?
共依存とは、自分と特定の相手との関係に過剰に依存すること。母娘の共依存については、「母娘クライシス」の一つとして、最近メディアなどでも目にする機会が多くなりました。ですが、筆者のカウンセリングルームに来られる相談者の中には、共依存を自覚している人は案外少ないのです。
■ ある相談者さんの悩み
ある30歳代の相談者から、実家を出て一人暮らしを始めたいのだが、母親を一人残していくのがかわいそうで、決心がつかないという相談を受けました。
その方の母親は、出産後すぐに離婚して、女手一つで子供達を育てたそうです。
今は、仕事が忙しい娘の身の世話を焼き、相談者が残業を終えて帰宅すると、真夜中でも食事やお風呂が準備されているそうです。その一方で娘に対する精神的な依存が強く、それを疎ましく思った相談者は、ある日、母親を突き飛ばしてしまったといいます。
仮に、相談者が家を出たとしても、兄・弟夫婦が金銭面で援助してくれるから、母親の一人暮らしは、経済的には問題ないのです。最近は、母親が、自分の依存性を自覚するようになり、娘が家を出る事に賛成するようになったそうです。
こうして、周囲のサポートが得られたにも関わらず、相談者の気持ちが以前にも増して揺らぎ始めました。その時初めて、相談者は自分も母親に依存していることに気がついたのです。
母と娘、お互い無自覚なまま依存が進むと、時には暴力にまで発展することも。母親を親友と呼ぶのもいいけれど、母と一緒でないと楽しくない、何も決められない、といった状況は要注意。心当たりのある人は、自分の気持ちを見つめ直す機会をもつといいかもしれません。
[執筆: 真香(親子問題カウンセラー)]
【参考】
※ 『日経ウーマンオンライン』2011年10月25日「母親と娘の関係、3人に1人は「一卵性母娘」」