秋から冬にかけて、食欲が増えがちという方はいらっしゃいますか? もともと秋は、「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」と並び、「食欲の秋」ともいわれることが多いですね。今回の記事では、この食欲の秋での「過食」について取り上げます。

 

■ なぜ「食欲の秋」なのか

果物がおいしい時期だったり、米の収穫の時期だったり……。実りの秋、味覚の秋とも呼ばれますね。冬に向け、徐々に気温が下がる秋。気温が下がると人間は体温を維持するために熱を作り出すため、基礎代謝が上がります。基礎代謝が上がるとその分エネルギーが使われますので、食欲が増すと考えられています。

そのほかに、日照時間の減少も関連しているとされています。日照時間が減ると、その分「セロトニン」と呼ばれる、心身の安定を保つ作用を持つ物質の分泌量も減少してしまいます。このセロトニン、実は食欲のコントロールにもかかわっています。この時期は日光から得られるセロトニンが少なくなる分、足りない分を補おうと食欲が増すというわけです。

 

■ 食欲の秋から冬にかけて多い「過食」

先述のセロトニン不足がうつ病を引き起こすリスクとなりますが、うつ病の症状の中に「食欲不振」とともに「過食症」があることは、意外に知られていないかもしれません。

筆者が相談を受けた例では、「秋から冬にかけて食欲が増進し、ひたすら食べてしまってこれまでの洋服が着られなくなるほど太ってしまった」という方がいらっしゃいました。ゆっくりお話を伺っていくと、この食べ過ぎの裏には職場のストレスが隠されていたようでした。

人間は強いストレスを感じたり、イライラしたりするときには、肉類や甘いものを食べたくなる傾向にあります。女性同士で「気分転換に美味しいケーキ食べに行こうよ」という経験をされた方もいらっしゃると思いますが、ストレス過多によるセロトニン減少が影響している可能性もありそうです。これからの季節は日光浴で得られるセロトニンが少ない分、余計に注意が必要なのです。

 

■ 日常生活でできる過食対策

食べることばかりでストレス解消しようとすると、どんどん肥満になってしまいます。食欲の秋だからいつもより食べる量が多いだけだ、と軽く考えるのは危険かもしれません。セロトニンを補うには、ストレス解消の基本である十分な睡眠、栄養のバランスの良い適量の食事、ジョギングや自転車など負担になりすぎない程度の野外での有酸素運動、この3つが大切です。食事だけに偏らないように気を付けて日常を過ごしたいものですね。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー), 2015年12月4日]

 

※写真:すなべしょう / PIXTA、本文とは関係ありません