女性が夜、一人で歩くのは危険と言われていても、仕事などで帰りが遅くなるのは避けられないこと。自宅までの道のり、安全対策していますか?
警視庁・生活安全総務課の資料によると、平成25年中、都内で性犯罪の被害にあった女性は約3100名。痴漢を除く他の性犯罪事件の発生時間帯は午後8時~翌朝6時までの間に約56%、つまり半分以上が夜間ということになります。また、年齢別にみると、20代~30代までが52.6%と、これも約半数を占めています。
■ 励ましが、より被害者を追い詰めることにも
筆者のところでのカウンセリングを希望されたB子さん(25歳)は、帰宅途中、駐車していた車の横から飛び出してきた男に、腕をつかまれそうになりました。恐怖のあまり、声も出ず、全力ダッシュで逃げたといいます。
それから3年たった今も、あの事件を思い出すと、胸の動悸が激しくなるそうですが、さらにB子さんを苦しめたのは、母親や友人から何気なく言われた、「事件のことは忘れたら」という言葉です。
性犯罪の被害にあった場合、周囲はなんとか励まそうとしてかける言葉が時には、本人を傷つけることもあるのです。B子さんは、いつまでも事件のことが頭から離れない、そんな自分を弱い人間だと責めるようになっていました。
■ 夜道の安全・自衛のためには
そもそも、深夜に一人歩きする女性が悪いといった見方も、世間にはまだあるようですが、そんなことを言っていたら、外で働くことはまず不可能です。夜道の安全、自衛のためには、どのような方法があるでしょうか。
警視庁などでは、安全対策として、「危険を察知したら大声を上げる」と呼びかけていますが、確かに声は有効なツールとなります。
筆者も数年前、セルフ・ディフェンスを教えるカナダのNPO組織WENDOで護身術を学んだことがありますが、インストラクターから最初に教えられたのが「声を出すこと」でした。それも「キャーッ」ではなく、「オー」とか、気合いを入れるときに発する「ハーッ」といった言葉です。「キャー」は、痴話げんかやふざけているように聞こえてしまうのでNG。声を出すことは、相手を驚かせ、威嚇する力があるといいます。
自衛の知識があると、とっさの行動が取れる可能性が高くなりますが、できることなら、遭遇しないのが一番ですね。
[執筆:真香(母娘問題カウンセラー)]
【参考】
※ 警視庁 生活安全総務課「性犯罪から身を守る」平成25年度