母娘関係改善カウンセラーの筆者のところには、娘さんから母親についての相談が寄せられます。そのなかのひとつが、「母親にもカウンセリングを受けさせたいのだがどうしたらよいか」という内容です。
■母親の悩みを軽減させてあげたいと思う娘
このような娘さんは、幼い頃から母親の愚痴を散々聞いています。愚痴の内容は父親のことであったり、祖母のことであったり。やがて娘さんが成長し、母親の苦しみをただ聞くだけではなく、何とか解決してあげたいと思うように。解決は無理であっても、軽減してあげることはできないか……。そんな思いが芽生えます。
娘さんは情報を入手するためインターネットを駆使したり書籍を探したりして、ここに相談すれば何とかなる、この人に会えば少しは母親の状況が変わるかもと必死に情報収集をします。そうして母親に様々な情報を提供し、カウンセリングを勧めるとこともあります。
■行動を起こさない母親に疑問をもつ娘
娘から「この本読んでみたら? 講座もあるしカウンセリングを受けてみるのはどう?」と言われると、母親も「そうね」とWEBサイトを見たりするのですが、実際に行動に移すことはなかなかありません。なぜなら、たとえば母親は夫の悪口を散々言ってはいるものの、離婚などはほとんど考えていないからです。また、本を読んだり、ましてやカウンセリングを受ける気などさらさらないのです。なぜなら、今の状況に心の底では満足しているからです。
それではなぜ娘に対して、解決する気のない愚痴を言い続けるのでしょうか。一つは、自分が不幸であることをアピールし、娘の同情をひきつけていたい思い。もう一つは、世間体です。たとえば、自分の結婚が不幸であっても、夫と別れてそれが噂になることいは耐えられないのです。
つまり、娘がどんなに手を尽くして母親の悩みを解決しようとしても限界があります。一方、娘だって父親などの家族の悪口を聞かされ続けたら、いい気持にはなりません。だから、このメッセージを発してもいいのです。「お母さんが、自分の悩みを本気になって解決しようとしないかぎり、私もいつまでも愚痴を聞き続けることはできない」と。愚痴の聞き役を放棄することに対して、罪悪感をもたないでくださいね。
[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー)]