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子どものイヤイヤ期に役立つ、アンガーマネジメントの技
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子どものイヤイヤ期に役立つ、アンガーマネジメントの技

筆者は保育士歴20年の元保育士で、これまで保育、子育てセミナーで延べ20,000人にイライラ解消法を伝えてきました。この記事では、話題のアンガーマネジメントを子育てに取り入れ、子どものイヤイヤ期を乗り切る方法をお伝えします。アンガーマネジメントのテクニックを使って、イライラと上手に付き合うことができれば、子育ては楽になりますよ。

 

なぜ、子どもはイヤイヤいうのか?

一般的に、2歳頃から始まると言われているイヤイヤ期。この時期に、どう接していいのか悩む親も多いのではないでしょうか?親にとっては避けて通りたい道ですが、実は、子どもにとって大切な道であることを知っておきましょう。

イヤイヤ期は、自己認識ができるようになり「自分で!」と主張したり、「イヤ!」と他者からの提案に反対したりする時期のことで、保育現場では「自我の芽生え」と言います。自分と自分以外の人の認識ができるようになり、自分のものと人のものの区別もできるようになります。さらに、自分がやりたいこと、自分が欲しいものなどもはっきりし始め、自分でなんでも決めたがる時期です。一方で、自分の気持ちの調整や自分と他者との関係性の調整などは未発達で、自分の思いを全力で主張するため、私たち大人から見ると扱いにくい時期に思えてしまうのです。一般的に第一次反抗期と呼ばれたりもしますが、子ども側からすればただ、成長の過程で必要な自己認知の時期を順調に過ごしているだけのことです。子どもにかかわる大人が、反抗ととらえるのか成長ととらえるのかで、その後の子どもの自己認知力の育みは大きく変わってくるでしょう。

子どものイヤイヤが始まったら、「うちの子は、自己認知が始まったな」「順調に成長しているな」と安心すればいいのです。

 

イライラしたときには呪文を唱えよう!アンガーマネジメント

でも、実際、目の前で毎日「イヤイヤ」が繰り返されると、イラっとすることもあるでしょう。そのイラっとした感情に流されて「うるさい! いい加減にして!」と言ってしまうと、これまでの努力が水の泡になってしまいます。もちろん、言いたくなる気持ちは重々わかります。わかるのですが、親がそれをしてしまうとさらにイヤイヤはヒートアップします。それでは、余計にお互いのイライラがおさまらず、最悪の事態になりかねません。そこで、あなたがイラっとした瞬間に使ってほしいのがアンガーマネジメントのテクニックです。

アンガーマネジメントには、衝動をコントロールするテクニックがたくさんあります。その1つが「コーピングマントラ」です。イラっとした瞬間、「うちの子、ただ今、成長中!」「順調、順調!」「OK! OK!」など、自分を落ち着かせる呪文を唱えるのです。「うるさい!」と反射的に叫ぶ前に、呪文を唱える、こうすることで、衝動をコントロールできるので、一呼吸を置くことができます。冷静さを取り戻せればこの勝負はあなたの勝利です。

アンガーマネジメントは、後悔しない怒り方をするための心のトレーニングです。「怒りすぎてしまった」と後悔しないために、自分自身の怒り感情をコントロールし、2歳児とのイライラ対戦にコーピングマントラ作戦で勝利してください。これを続けていれば、そのうちアンガーマネジメントの衝動のコントロールが自然にできるようになります。それは、子育てに限らず日常全ての出来事に対するイライラの対処法になります。

 

子どもの気持ちを代弁しよう!

冷静に子どもに向き合えるようになったら、次は「子どもの気持ちを代弁する」ことをしていきましょう。なぜ、イヤだと思っているのかを言葉にしてあげるのです。実は、2歳児の言葉の獲得数は(個人差もありますが)、おおよそ300語程度と言われています。つまり、伝えたいと思っても伝えられないもどかしさを感じていることが多いということです。もちろん、私たちは子どもの言葉を理解しようと努力しますが100%正しく理解できているとは限らないわけです。逆に、親が子どもに伝えた言葉も100%理解できていないことがほとんどかもしれません。伝えたいことが伝わる経験は、満足感や幸せ感を高めますが、伝わらない経験は不安感、不満感を高めます。だからこそ、子どもの気持ちをできるだけ丁寧に代弁してあげるのです。「このソックスはイヤなんだね。他に気に入ったのがあるのかな?」「まだ、お外で遊びたいんだね。じゃ、あと5分だけね。スマホのタイマーが鳴ったらおうちに帰る約束をしようね」と、工夫しながら言葉を選んで伝えてみてください。まずは、「イヤだ」の主張を受け入れて、気持ちを代弁し、代替え案を提案すると良いでしょう。

 

まとめ

子どもがイヤイヤと言うことも、親がイライラすることも悪いことではありません。イヤイヤ期は、子どもの成長過程における自我の芽生えです。親がイライラしながら関わると、子どもの成長は妨げられてしまいます。テクニックを使って落ち着いて、子どもの気持ちを言葉にし、親自身も自分の気持ちを整理してみましょう。このかかわりは、子どものイヤイヤ期の長期化を防ぐ方法になってくれるはずです。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※写真:yuu / PIXTA(写真はイメージです)

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