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子どもはなぜ嘘をつく? 子どもの成長と嘘、4つの種類
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子どもはなぜ嘘をつく? 子どもの成長と嘘、4つの種類

子どもの嘘にイラっとしたことはありませんか? 子どもはなぜ、噓をつくのでしょう?嘘をつかれると、つい「どうして嘘をついたの?」「なんで嘘なんかつくの!」と、責めたい気持ちになります。でも、責めるだけでは子どもの嘘は減りません。今回は、子どもの嘘に親がどう対応したらよいのかを考えていきましょう。

 

嘘は絶対ダメなのか?

「嘘八百」「嘘つきは泥棒の始まり」などの嘘をネガティブに捉えた諺がありますが、そもそも嘘って絶対ダメなものなのでしょうか? 例えば、「嘘も方便」や「嘘から出たまこと」の諺は、嘘をつくことも時には必要だ、とか、嘘をついたことが結果的に本当になった、などポジティブに捉えている言葉です。つまり、「嘘」と一口に言っても時と場合、見方や考え方によって捉え方は変わってくるのではないでしょうか。

 

子どもの成長と嘘

赤ちゃんは嘘をつきません。親に無条件に受け入れられているときには、嘘を必要がないからです。だから、子どもが嘘をつくということは、子どもなりに嘘をつく必要がある状況だからこそ、嘘をついているのかもしれないと理解しましょう。自分をとりまく環境の中で、考え、感じる力がついたからこそ、嘘がつけるようになったのです。これは、子どもの成長とも言えるのではないでしょうか。

 

嘘の種類

嘘にはいろいろなタイプがあります。空想や想像力の広がりによる嘘、自分を傷つける嘘、他人を傷つける嘘、優しさからつく嘘、自分を守るための嘘などです。子どもに限らず、大人でも心当たりがある嘘があるのではないでしょうか。1つずつ見ていきましょう。

 

1.空想や想像力の広がりによる嘘

4歳頃の子どもによくみられます。現実と空想の区別があいまいな時期に、自分の願望や想像を本当のこととして伝えようとする嘘です。例えば「○○を買ってもらったよ」「ウサギと話ができるよ」などです。これらは成長と共になくなりますので、親が過敏に反応することはありません。一過性のものとして受け止めましょう。

 

2.他人を傷つける嘘

相手を陥れるためについてしまう嘘です。妬みや寂しさ、うらやましさから、「○○さんが、あなたの悪口を言っていた」「○○は、最低のやつだ」など事実ではないことを伝え、自分を有利な立場に持っていくための嘘です。実は本人が一番傷ついていたりします。子どもの気持ちを丁寧に聞き、安心させてあげられれば他人を蹴落とす必要がなくなるので落ち着いてくるでしょう。

 

3.優しさからつく嘘

心配をかけたくないという思いからの嘘と言えるでしょう。嫌なことがあっても「大丈夫」と偽りの気持ちを伝えたり、親の期待を裏切りたくない思いから、ついてしまう嘘もあります。子どもの小さなサインを見逃さず、違和感が残るときには子どもを傷つけないよう配慮しながら、状況を確認してみましょう。早めの対応が子どもの心を救うことにつながります。

 

4.自分を守るための嘘

失敗したり間違ったことをしたり、怒られたくないと感じたときにつく嘘です。傷つきたくないという思いからついた嘘なので、必要以上に怒るとさらに嘘を塗り重ねるようになります。嘘をつくということは、自分の行動を隠したいから。隠したいということは、その事柄が「いいことではない」と分かっているからなので、そこを認めつつ、子どもの思いを聞いてあげられると怒られる不安がなくなります。結果、嘘をつく必要はなくなります。

親の対応法

子どもが嘘をついたとき、親は衝動的に怒らないようにしましょう。子どもが嘘をつくには、それなりの理由や気持ちがあるからです。まずはいったん落ち着いて、話ができる心の状態を作ってから話しましょう。感情に任せて責めるような言い方をすれば、子どもは心を閉ざしてしまいます。

また、大声を出したり、理由も聞かずに「謝りなさい!」と強要するのもNGです。子どもは納得できなければ素直に謝ることはできません。そして、人格否定をするような言葉も使ってはいけません。「そんな嘘つきな子どもに産んだ覚えはない!」などと言われると、親への信頼感は損なわれます。

大切なのは、子どもの話を聴こうとする姿勢があるか、その話を否定せずに受け止めることができるか。そのうえで、嘘をつかれた親の気持ちを子どもにわかる言葉で伝え、なぜ、嘘をついてほしくないかの理由を話してあげましょう。

 

まとめ

子どもの嘘に、親は傷ついてしまいます。でも、もしかしたら子どもも傷ついているのかもしれません。子どもの嘘に気づいたときの親の対応が、今後、親子の信頼関係を左右します。子どもが嘘をつき始めたな、と気づいたら、まず親子関係を見直してみましょう。「大きくなったから」と厳しく子どもに接していないか、何か(勉強やスポーツなど)を強要しすぎていることはないか、期待をかけすぎていないか。子どもに向き合う自分を振り返ってみると、子どもの嘘の理由が隠れているかもしれません。

また、親が平気でうそをついていると「嘘をついても大丈夫」と思い込む可能性があります。子どもとの約束は守ること、守れない約束はしない、などに気を付けるだけで、嘘への認識を変えることができるはずです。もし、どうしても守れない場合には、子どもが納得できるまで丁寧にその理由を伝えてください。親の真摯な態度は、子どもの嘘を減らす一歩になってくれるでしょう。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

画像:node / PIXTA(画像はイメージです)

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