親しい友達と一緒に遊んで楽しかったはずなのに、家に帰るとドッと疲れて何もできない。職場にはきつい人はいないし、みんないい人ばかりなのに、ストレスが溜まってしまう。楽しみにしていた飲み会も最初はいいけど、いつしか早く帰りたくて仕方がない。人といるとなぜか人一倍疲れてしまうため、人付き合いが苦手になっていませんか? 人と一緒にいると疲れる原因を知って、人付き合いを楽にしていく方法を心理カウンセラーがお伝えします。
1.「人と一緒にいると疲れる」人の特徴とは?
「人と一緒にいると疲れる」という人は、細かいところまで気がつく繊細で敏感なところがあり、相手に嫌な思いをさせないよう、相手の期待を瞬時にキャッチし応えようします。気配り上手で、真面目で完璧主義なので、行き当たりばったりな行動が苦手で、計画通りに進まないとストレスを溜め込んでしまいます。常に相手の反応を気にしながら行動するので、自分では気づかず過剰適応になってしまいます。
2.陽キャな自分と陰キャな自分
「人と一緒にいると疲れる」タイプの人は、本来の持って生まれの気質は内向的な人です。しかし子供の頃、学校などでは陽キャタイプ、いわゆる明るく元気で外交的な人がみんなの人気者でした。そのため、コミュニケーションの方法として社交的に振る舞うことを取り入れ、外での人間関係を築いていきます。家の中と外では性格が全然違うという人も多いでしょう。外で陽キャな自分を演じることで楽しんでいるので、楽しいときもどこかしっくりこないのではないでしょうか。あまりにも陽キャのキャラが確立してしまっているので、本来の内向的な自分を出さないように気を張ってしまいます。
3.本当の自分ってどんな人なの?
このような人は、対人コミュニケーションの方法として外と内ときれいに分けています。人と接するときに一番に気を遣っているのが、人に嫌な思いをさせないことです。だから人に感じよく振る舞おうとします。知らず知らずの間に、癒やしキャラになっていたり、場を盛り上げるためにムードメーカーになったりします。
しかし本質的には内向的な人なので、社交的なことは本来苦手なのです。ところが自分自身は内向的だと思われたくない、社交的で明るく見られたいと思っています。そう思われたいがために、相手がどんな反応をするか、どう思われているか、何を望んでいるかばかりに神経を集中させます。人間の集中力はそんなに長く持続しないので、ひとりになると疲れがドッと押し寄せるのです。また少しプライドが高いところもあります。キャラで笑われるのは大丈夫なのですが、内向的な自分を笑われることは耐えられないと思っています。本来の性格が外向的な人と違って、本当は人にそこまで興味を持っていない部分があります。ひとりの時間が苦にならず、どちらかというと好きなのですが、孤独が苦手という相反するところもあります。
4.人付き合いを楽にしていくためには?
「人と一緒にいると疲れる」という人は、家でひとりのときは好き勝手にできる反面、外では過剰適応してしまうという極端な二極化になっています。一見バランスを取っているようにみえますが、過剰適応しないと人間関係が作れないという極端な思考になっています。相手の反応、その場の空気を優先するので、進んで自己主張することはありません。そのため心の中で芽生えた自分の意見や感情が吐き出されないまま、モヤモヤが溜まっていきます。
人付き合いは、自分と違う価値観や性格の人とも交流することなので、ある程度、ストレスは誰でも溜まります。だからひとりの時間を過ごすことが得意なことは、とてもバランスがいいのです。
その上で、もう少し人付き合いを楽にしていくためには、無意識にしている過剰適応の部分を明らかにしていきましょう。自分の意見は控える傾向にありますが、相手を楽しませるため、また場の空気を和ませるため、一番に自分から働きかけていませんか? その部分を少し抑えてみて下さい。案外他の人がやってくれたり、何事もなく終わったりするかもしれません。自分に余裕があるときは陽キャでもいいのですが、そうでないときにはそこまで人に気を遣わなくても対人関係が破綻することはありません。自分の意見を言うことや相手の要望を断ることも、コミュニケーションのひとつになります。またそういう風に自分を出すことによって、人との距離感がつかめていきます。自分の過剰適応な部分をなくして、人付き合いが楽にしていきましょう。
[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]
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