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思春期の子どもとの関わり方 イライラしたら思い出そう
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思春期の子どもとの関わり方 イライラしたら思い出そう

「昔はあんなにかわいかったのに…」「いつからこんなに生意気になったのかしら…」と、過去を懐かしむことはありませんか? 子どもって、幼い頃は手がかかっても、心はいつもそばにありましたよね。ところが、中学生から高校生くらいになると、手が離れて楽になるとともに心まで離れる感覚になる人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな思春期の子どもと適度な距離間で付き合っていく方法についてお伝えします。

 

思春期の子どもにイライラ

遠い過去を振り返ってみましょう。自分が思春期だった頃のことです。意味もなくイライラしたり、親の存在が疎ましかったり、情緒が不安定になってしまったり、という記憶は残っていませんか? 筆者は感情の起伏が激しい方だったので、思春期の頃はかなり扱いにくい子どもだっただろうなと思います。今でこそ、アンガーマネジメントを学び、感情コントロールができるようになったのでずいぶん楽になりましたが、思春期の頃は自分で自分の感情に振り回されて、しんどい思いをしていたんだろうと思います。もしかしたら、あなたも同じではありませんか?

でも、そんな自分を棚に上げ、我が子の態度にイラっとしたり、ムカッとしたりしてしまう、なんてこともありますよね。大丈夫。これも仕方のないことなのです。立場が変われば、感情も変わります。自分が子どもだった過去と、親になった今では考え方や感じ方が変わるのは当然のことなのです。

 

そもそも思春期って?

この厄介な思春期って、いったいどういう状態なのでしょう。実は、ホルモンの分泌量が大きく変化する時期のことを指しているのが思春期です。この時期、女性ホルモン、男性ホルモンの分泌が急速に増えることで、心と体のバランスが不安定になり、本人にコントロールできない形で感情の起伏が起こると言われています。また、それに伴い体型の変化も現れるようになり、自分の容姿にも敏感になり始める時期です。

本格的に自立に向かう時期でもあり、自分の価値観で物事を考え、行動するようになります。そのため、親の価値観で干渉されることに抵抗感を覚えるようになるのです。

 

コミュニティーの中での自分

小学生時代と違い、中~高校生になると、子どものコミュニティ全てを把握することはできません。子どもは自分の力で、そのコミュニティの中で生きていかなければならないのです。親がいつでもそばに控えてくれていた頃とは違います。たとえ、親がそばに付き添おうとしても、それを拒もうとする子もいるでしょう。思春期は、子どもが自分一人で社会に踏み出していくための大切な時期といえるのです。

学校で、クラスで、部活動で、友達関係で、子どもなりにコミュニケーションをとりながらうまくかかわる努力をしています。良いこともあれば悪いこともある。うまく立ち回れることばかりではないので、ストレスがたまることもあるでしょう。そんなとき、安心して帰れる場所が親の元なのです。

 

思春期の子どもにどう関わる?

思春期の子どもを持つ親としての役割は、子どもが帰りたいときに安心して帰れる場所を作っておくことです。イラっとすることもあるでしょう。小言を言いたくなることもあるでしょう。でも、まずは、我が子が一番リラックスできる環境を作ることが大切です。子どもの態度にカチンと来たら、「あ、思春期特有のやつね」「なるほど、ストレスたまってるのね」と、つぶやいてみましょう。そうすれば、「思春期ってこういう時期」と思い出すことができるはずです。ホルモンバランス上の問題なので、しかたがありません。ホルモンバランスの崩れる女性の月経前症候群をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

親の関わり方としては、過度に干渉せず、一人の時間を持たせてあげること。そして、少々態度に不満があっても、これまで通りの穏やかな口調で話すこと。もし感情的に暴言を吐かれても同じ土俵に立たず、吐き出しきるまで見守りましょう。その後、「しんどかったんだね。困っているんだね。辛かったんだね」と、暴言の裏に隠れている気持ちや「○○してほしかったんだね」という欲求を受け止めてあげると良いでしょう。

 

思春期の子どもとより良い関係を築くには

思春期であっても、もし、より良い関係が築けるのならそちらを選びたいと思いませんか。誰だって、暴言など吐かれたくないですよね。そのために普段から続けておくことで、子どもとのほどよい距離感を保つことができる方法を紹介します。

それは「ありがとう」と伝えることです。例えば学校のことや部活のことなど、何か質問をしたときすぐに答えてくれたら「ありがとう」、配布当日に手紙を出してくれたら「ありがとう」、呼んだらすぐに来てくれたとき「ありがとう」など、折に触れ「ありがとう」と伝えてみましょう。「そんな当たり前のことで?」と思うかもしれませんが、思春期は何もかもが面倒に感じる時期なので、今までの当り前が当たり前ではないのです。「ありがとう」と言われて嫌な気持ちになる人はいません。気持ちが不安定になりやすい時期だからこそ、「ありがとう」は子どもの心にポジティブな気持ちを注いでくれる言葉になるはずです。

 

まとめ

思春期は誰もが通る道です。その思春期を理解してくれる親がそばにいてくれれば、子どもは安心して思春期を過ごすことができます。思春期を思春期で終わらせるのか、思春期を反抗期へと変えていくのかは親のかかわり方次第です。子どもの態度にイラっとしたら「思春期真っ最中なのね」とつぶやいてください。そして、「ありがとう」は、親子をつなぐ魔法の言葉になってくれることを覚えておいてくださいね。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※画像 : mits / PIXTA(画像はイメージです)

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