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五月病になりやすい人の特徴と今すぐできる対処法
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五月病になりやすい人の特徴と今すぐできる対処法

ゴールデンウィークはいっぱい遊んだし十分休養もできた。なのに、なぜか会社に行きたくない、やる気がでない。これってもしかして「五月病」かも。

この状態から何も対策をしなければ、抑うつ症状を引き起こし、うつ病に移行してしまうこともあります。五月病になりやすい人の特徴と、ならないための対処法を心理カウンセラーがお伝えします。

 

1.虫めがね的視点

休みが明ける前の日などは、特に気持ちが憂鬱になってしまいます。「明日は会社に行きたくないな~」という気持ちになることは誰でも一度はあると思います。しかしそういう気持ちになったからといって、五月病になる人とならない人がいます。その違いは、五月病になる人はそこからどんどん「虫めがね的視点」で見てしまうからです。

例えば、「明日会社に行って嫌な上司にまた会うのか」と会社から上司に視点が移り、さらに以前に上司から怒鳴られた場面にと、視点がまるで虫めがねで見ているかのように、その部分だけ大きくなっていきます。そしてその時の怖かった気持ちや、まわりの人の視線の恥ずかしさ、後からフツフツと湧いてくる怒りなどを何度も何度も反復し続けているのです。今、何も起こっていないはずなのに、自ら憂鬱な気分を引き起こしてしまいます。

 

2.突然の拡大解釈

「虫めがね的視点」になっていると、どうしても追い詰められた気持ちになってきます。そういうとき出てくるのが、「突然の拡大解釈」です。

自分はこの仕事が向いていないのでは?
自分はこの会社にいても役に立たない。
誰も自分を必要としていない。
人は自分のことをわかってくれない。
自分の生きる意味はいったい何なんだ。

このように、ネガティブに広がっていきます。物事をどんどんネガティブに見ていくと、被害者意識に囚われてしまいます。被害者意識は常に怒りの感情を伴うので、前向きなエネルギーを奪ってしまいます。

 

3.辛いことから逃げる

辛いことから逃げるのは、人間が生き延びていく上で必要なことでもあるのですが、間違った逃げ方をして、五月病になってしまうこともあります。
「明日は会社に行かなければならない」と思うと、明日が来なければいいのにと思ってしまうでしょう。

明日のことを考えたくないので、日中は用もないのに出かけてみたり、ずっと動画を見続けたりしてしまいます。そして一番辛いのが、夜寝る前です。早く寝ないと寝不足では明日がしんどいとわかっていても、寝てしまうとあっという間に明日になってしまうため寝たくないという葛藤が生まれます。そしてずっとスマホをさわって明け方になってしまいます。

五月病にならないための基本は、生活リズムを崩さないことです。特に睡眠はとても大事になってきます。

 

4.五月病にならないための対処法

五月病にならないためには、「虫めがね的視点」に気づいた段階で、いったん思考をストップさせます。五感を使うことが気分転換になりやすいので、散歩に出たりや好きな音楽を聞いたり、コンビニでおいしいスイーツを買ってきて食べるのもいい気分転換になるかもしれません。

「突然の拡大解釈」が始まったら、なかなか前向きな考えができにくくなります。そして衝動的な行動に出てしまう可能性があります。これは、突然の拡大解釈で理由をつけて、辛いことから衝動的に逃げるということであって、冷静にまた客観的に自分のことを見て、将来を考えての行動ではありません。

もうダメだと衝動的に退職してしまうと、自己肯定感が低くなってしまいます。よほど環境が悪い場合は別ですが、「突然の拡大解釈」が出てきたら、ネガティブ思考になっているので、その考えが本当かどうか時間をおいてまた考えるというルールを作りましょう。人の感情には波があります。大きなことを決断するときは、波が上過ぎでも下過ぎでもないときに行うといいでしょう。

また、五月病になりやすい人は、ちょっと背伸びしてしまう癖をもっています。かっこ悪い自分を見せたくない、できないやつと思われたくない、普通にこなせていると思われたい。そのような思いが自分のハードルを勝手に上げてしまい、息切れを起こします。他人はそんなに自分のことを見ていないという「開き直り力」をつけていきましょう。

そして今一度、生活習慣を見直して見て下さい。生活リズムが崩れると、ストレス耐性が弱くなってしまいます。休みの日もできるだけ朝起きるようにします。食事もお菓子だけとか、偏ったものになっていませんか? 栄養が欠けてくると、心のエネルギーも欠けてしまいます。そして睡眠はきちんと取れていますか? 春から頑張ってきた人は、身体も頭も目一杯使ったはずです。毎日の睡眠で疲れを回復させていきましょう。またひとりではなかなか気分転換できないのであれば、誰かと話すことで気持ちもリフレッシュしてきます。専門家に話をしながら考えを整理していくこともいいでしょう。

[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]

※画像:primagefactory / PIXTA(画像はイメージです)

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