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自分はダメな親だとつらくなったとき、どうすればいい?
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自分はダメな親だとつらくなったとき、どうすればいい?

イライラしたり、怒りすぎたりしてしまうとき、子どもの要求に応えられないとき、「自分はダメな親だ」と感じることはありませんか。「何とか気持ちを切り替えて、子育てを頑張ろうと思っても、どうしたらいいかわからない」「結局、自分はダメだという思いを抱えながら子育てを続けるしかない」そんなお悩みに、感情保育学研修の専門講師がお答えします。

 

子どもだけじゃない親の自己肯定感

保育や教育の分野では「子どもの自己肯定感」を育むことを大切にしています。「自己肯定感」とは、ありのままの自分を受け入れること、つまり、自分の存在や価値を肯定できる感情のことです。自己肯定感が育まれると自分を大切にできたり、自信を持てたりするので様々な出来事に対しての姿勢が前向きになります。実はこの自己肯定感は子どもにだけ大切なわけではなく、親にとっても大切な感情だと言えるのです。

 

親になれたことはすごいこと

もし、あなたが「自分はダメな親だ」と悩んでいるとしたら、それはあなたが頑張っている証拠です。親として、子どものことを考え「今の状態を何とかしたい」と、自分自身と向き合っているからです。少子化が進む社会で、子どもを育てている人の数は減少しているのですから、あなたが親でいること自体が、実はすごいことだったりするのです。親になれたから、親だからこその悩みだと言えますよね。

 

自分を励ましてみよう

「自分はダメな親だ」と思う理由は、人それぞれ違います。きっと、あなたなりの理由や気持ちがあるのだと思います。それを否定する必要はありません。感じたり考えたりするのは自然なことなので、それを無理やりやめることはありません。でも、1つだけあなたにお願いがあります。「自分はダメな親だ」と感じたとき、「私は〇〇だから、ダメだと感じているんだね。分かるよ」と、理由と気持ちに共感しながら自分に話しかけてあげてください。自分の気持ちを自分で言語化すのです。

「怒りすぎてしまったから、ダメだと感じているんだね」
「思わず手を上げてしまったから、ダメだと感じているんだね」
「子どもの話を聞いてあげられなかったから、ダメだと思っているんだね」
「泣いている我が子を、面倒くさいと思ってしまったからダメだと感じているんだね」

このように、どんどん言語化していきます。そして、最後に「分かるよ、その気持ち」と自分に言ってあげるのです。

 

なぜ言語化が大切か

言語化するには、自分の気持ちやその理由を整理しなければなりません。整理すれば、今まで、「ダメだ」としか捉えていなかった状態を、具体的に認識できるようになります。自分がダメだと感じていることが明確になるので、次の行動を修正しやすくなるのです。「なるほど、そういうことね」と自分で自分の行動に納得がいき、自分の行動を客観的に振り返ることができるようになれば、行動を変えるきっかけ作りになります。これが言語化をお勧めする理由です。

 

小さな「できた」を探してみる

次に実行してほしいのは、小さな「できた」を探すことです。ダメなところもあるかもしれないけど、ダメじゃないところも必ずあります。怒りすぎたときに、「怒りすぎちゃったね、ごめんね」と今日は謝れた、とか、「さっきは話が聞けなかったけど、今ならお話を聞けるよ」と子どもに向き合う時間がとれた、とか、ほんの小さな「できた」でいいので探してみてください。ダメだとしても、失敗したとしても、そのあとの行動でカバーすればOKです。

 

自分一人で抱え込まない

注意してほしいのは、自分一人で抱え込み続けないことです。ワンオペ育児、片親家庭だから仕方がないと諦めてしまえば、どんどん自分を追い込んでしまいます。「自分はダメな親だ」と感じたときは、もうすでに頑張りすぎの状態です。借りられる手は借りてください。ベビーシッターや家事代行のサービスを利用するのもよいでしょう。祖父母の手を借りることも検討してください。相談機関では、無料相談を受付しているところもあります。そして、パートナーに、勇気を出して自分の心の状態を伝えましょう。行動を起こす勇気が、あなたと子どもの心を守ることになるのです。

 

まとめ

自分はダメな親だと思い、つらさを抱えてうつむいていていると、視野がどんどん狭くなってしまいます。すぐには気持ちが切り換えられないとしても、日常の小さな「できた」の積み重ねは、あなたの子育ての自信につながります。子どもも大人も一緒です。昨日はできなかったことが今日はできた! という経験は、人の心を少しだけ幸せにしてくれます。小さな幸せが、今日は2つ、今日は5つ……と、毎日少しずつ見つけられるようになったら、「自分はダメな親だ」と思う回数も減ってきます。

最後に! あなたが今、親であることは何よりすごいことなのです。頑張って子育てをしている自分のことを、まずは大事にしてあげてくださいね。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※画像 : yamasan / PIXTA(画像はイメージです)

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