子どもを上手に怒るには、怒りの感情をコントロールしながら怒ることが大事です。とはいえ、それがなかなか難しいと悩む保護者も多いようです。そこで今回は、今話題のアンガーマネジメントのテクニックを紹介します。怒りが大爆発する前に、感情をコントロールすることで、子育てがちょっと楽になる方法を4つお伝えしていきます。
目次
子育てにアンガーマネジメントを使ってみよう
筆者は、アンガーマネジメントの考え方に出会って丸10年です。10年前に、アンガーマネジメントを知ることができて本当に良かったと思っています。怒ってばかりの子育てから、笑顔がいっぱいの子育てに変えることができたからです。アンガーマネジメントは、怒りの感情をコントロールするための心理トレーニング。長く続ければ続けるほど、上手になっていきます。今日は、アンガーマネジメントのテクニックの中でも、すぐに使える「衝動のコントロール」をするテクニックを4つ紹介します。
テクニックを使うタイミングは?
アンガーマネジメントにはたくさんのテクニックがあります。その中で、今日お伝えする「衝動のコントロール」に役立つテクニックは、とても重要です。なぜなら、衝動的に、感情的に、反射的に怒ってしまうと上手に怒ることはできないからです。上手に怒るとは、自分にとっても相手にとっても納得できる状態に向かうことです。つまり、このテクニックは、怒りを爆発させる前に使うことがポイントです。自分が「イライラし始めたな」と感じたときが、取り組むタイミングなのです。
テクニック1.カウントバック
カウントバックは、数を数えるテクニックです。数えることで、腹の立つ出来事から意識を逸らせることができます。例えば、100から3ずつ引いていく方法、97、94、91、88…と頭の中で計算してみましょう。計算しているときは、腹の立つ出来事について考えることはできません。慣れてきたら英語で数えてみるなど、工夫して頭を使ってみてください。
テクニック2.呼吸リラクゼーション
深呼吸を2~3回繰り返すことで、脳をリラックスさせた状態に戻していくのが呼吸リラクゼーションです。イライラし始めると呼吸が浅くなり、脳に酸素が送られにくくなります。そうなると体に力が入った状態が続き、ストレスを感じやすくなってしまいます。呼吸リラクゼーションは、あえてゆっくり息をすることで脳や体内に酸素を送り込むができ、イライラの感情をリセットすることができます。深呼吸をしながら、腕や身体を伸ばすことでストレッチ効果も加わります。
テクニック3.コーピングマントラ
別名「魔法の呪文」とも言われています。イラっとしたとき、あらかじめ用意していた魔法の呪文を唱えることで「自分は落ち着くことができるんだ」と思えるようになるテクニックです。この魔法の呪文は、どんな言葉でも構いません。「大丈夫、大丈夫」とか「平気、平気」でもいいですし「ピンチがチャンス!」などのフレーズでもよいです。また、「大好きな食べ物をイメージしたら幸せになれる」とか「好きなタレントの名前を呼ぶと怒る気が失せる」などでもよいですよ。ポイントは、呪文を唱えて、それを思い描くことで、イライラしたことから気持ちを逸らせることができるテクニックです。
テクニック4.タイムアウト
タイムアウトは、その場から離れるテクニックです。その場で自分の感情をコントロールできそうにない場合、離席することで自分を落ち着かせる方法です。タイムアウトには3つの約束があります。まず、離れる前に一言断りを入れておく。例えば、「このままここにいると、大きな声で怒ってしまいそうなので少し気持ちを落ち着かせてくるからね」などのイメージです。2つ目は、帰ってくる時間を伝えておく。例えば、「5分経ったら戻ってくるね」などです。最後は、必ず約束の時間に戻るようにすることです。そして戻るときには、気持ちをリセットして帰れるようにしましょう。場を離れているときには、ストレッチをする、コーヒーを飲むなど有意義に過ごすといいですよ。間違っても、腹の立っていることを頭の中で反復しないように注意してくださいね。
まとめ
今回は、アンガーマネジメントのテクニックを4つ紹介しました。これはどれも、怒りを爆発させる前に使うことがポイントになります。そして、自分に合ったテクニックを見つけてほしいと思っています。ちなみに筆者は、呼吸リラクゼーションをよく使います。イライラするとどうしても体に力が入りがちになってしまうので、折に触れ呼吸リラクゼーションのテクニックを意識的に使っています。また、子どもの年齢が上がってくるとタイムアウトも有効です。中高生になると、親の勢いだけで怒っても聞く耳を持たない子どもが多くなります。タイムアウトで自分の気持ちをリセットし、何を伝えたいのか、どうしてほしいのかを整理してから話し合う方が、結果として、お互いに納得できる解決策が見つかる確率が高くなりますよ。
[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]
※画像 : Kostiantyn Postumitenko / PIXTA(画像はイメージです)