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家庭でできる、子どもの感情コントロール力を上げる方法
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家庭でできる、子どもの感情コントロール力を上げる方法

「うちの子はキレやすい」と悩んでいる方必見です。キレる行動は、大人にとっても子どもにとっても心への負担が大きいものです。できることなら、心地よい親子関係を築いていきたいですよね。今回は、元保育士で感情保育学研修の専門講師が、家庭でできる「キレやすい子ども」の感情コントロールの力を上げる方法をお伝えします。

 

感情はコントロールできない?

「感情をコントロールするのは難しい」と感じる人が多いのではないでしょうか? 確かに、感情のコントロールは誰にとっても難しいものではあるですが、できないわけではありません。ただし、感情のコントロールができるのは、自分の感情に関してだけです。残念ながら、怒っている人やイライラしている人など、自分以外の誰かの感情をコントロールすることはできません。だからあなたが、子どもの感情をコントロールすることはできないのです。つまり、キレやすい子どもが、自分で感情のコントロールができるようになりたい、と思わなければ、いつまでたっても感情のコントロールはできないのです。

 

なぜ、感情コントロールは難しいのか?

では、「自分で感情のコントロールができるようになりたい」と思えば、すぐにできるようになるか? と言えば、そう簡単にできるものでもありません。なぜなら、感情は自分の中から自然に湧き出るものだからです。自然に嬉しくなったり、悲しくなったり、楽しくなったり、腹が立ったりする、それが感情です。つまり、湧き上がってくる感情そのものをコントロールすることは、難しくて当たり前なのです。

だから、キレやすい子どもは、自分の中から湧き上がってくる怒りの感情をうまく扱えず、乱暴な言動に至っているだけなので、感情の扱い方や表現の仕方を覚えればその言動が落ち着いてくる可能性は高くなります。

 

特別なトレーニングが必要?

子どもの感情をコントロールする力をつけることは、「感情そのものをコントロールするのではなく、感情を表現する言動のコントロールをする」と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。湧き上がる感情は自分でコントロールできなくても、「どう行動するかを決めることは自分でできる」ことを、子どもに伝えていくのです。その伝え方はとても簡単で、誰にでもできるので安心してください。特別な学習やトレーニングは必要ありません。親子のかかわりの中で、普段の生活の中で、すこし意識するだけで子どもに伝えられるのです。

 

家庭でできる簡単な方法「気持ちを聞く」

わけもなくキレているように見える子どもの言動にも、その裏側には必ずネガティブな感情が潜んでいます。例えば、不安、しんどさ、辛さ、虚しさ、寂しさ、不満、不快、困り感、焦燥感、不信感、痛さ、苦しさなどです。こういった感情をかかえているのに、誰も気づいてくれない状況が続いていると、そのマイナスな感情が怒りに変換され、乱暴な言動が増えていきます。親は、荒れた言動に注目しがちですが、本当に注目しなければならないのは、その言動を引き起こしている子どものネガティブな感情の部分です。「友達とケンカして寂しいのかな」「試合に負けて悔しいのかな」「勉強しているのに結果が出なくて苦しいのかな」など、子どもの年齢や環境によって変わりますが、親が子どもの感情に寄り添った視点で関わるようになれば、子どもの心はふわっと温かくなります。自分のことを分かってもらえる安心感は、イライラや怒りの感情を和らげてくれます。

 

家庭でできる簡単な方法「納得度を確認する」

子どもの反発心が強いと感じたら「何か理由があるのかな?」と考えてみましょう。「何に対して反発しているのか」「何に納得できていないのか」それを丁寧に確認することも重要です。言い分をすべて聞き入れることはできないとしても、言い分を聞くことはしてあげましょう。そして、親の言い分と子どもの言い分を出し合って、どこまでなら譲り合えるのか話し合ってみるのです。

そのとき注意したいのが、はじめから「ダメ」と決めつけないこと。例え受け入れられないことだとしても、一度「あなたはそう思っているのね」「今の状態が納得できていないんだね」と、言葉にして伝えてください。その一言があるだけで、自分のことを受け止めてくれる安心感を得ることができます。

 

まとめ

今回紹介した家庭でできる簡単な方法を取り入れながら子育てをすることで、子どもが自然に自分の気持ちや行動の理由を話してくれるようになります。その会話ができる関係作りができれば、キレる前に子どもが抱えている問題を解決できるようになるでしょう。初めはうまくいかないかもしれませんが、諦めずに続けてください。親が自分の気持ちを大切にしてくれている安心感は、必ず子どもをネガティブからポジティブな状態に変えていくからです。キレる子どもの行動に悩んでいるなら、ぜひコツコツと続けてみてくださいね。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※画像 : Rina / PIXTA(画像はイメージです)

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