「ニューノーマル時代の夫婦関係」をテーマに「お金」や「キャリア」など、さまざまなジャンルとの関係を幅広く研究している筆者が、最近なにかと話題にのぼる「Z世代」のパートナーシップについて考察します。この記事で書いている「Z世代」の考察は、すべて筆者が彼らとの関わりのなかで得た経験と発見にもとづくトピックスです。彼らのもつ新しい価値観や行動様式は、Z世代ではない私たちも学ぶことがたくさんあります。
目次
Z世代カップルのカタチは「自由」
デジタルネイティブと呼ばれるZ世代カップルの多くは、出会い系アプリやSNSが彼らにとっては出会いの場であり、自分の条件に合ったパートナーを探して結婚しています。Z世代は、不安定な世の中だという危機感があるため、とても慎重に婚活や恋活をします。「この人だ！」と思うまでテキストメッセージやアプリ内の電話でコミュニケーションを行い、納得しないと相手と会わないこともあるでしょう。
Z世代のカップルは、「個」を大切にするため、お互いが頑張りすぎずフラットな関係を求めています。「お互いが会いたい時に会う」「会えない時はチャットする」など適度な距離感を保ちながらコミュニケーションするのが特徴です。
Z世代に学ぶ秘密その１．パートナーへの「こだわり」を捨てろ！
Z世代は、日常的に入手してい情報やSNSなどの繋がりから、「世の中にはさまざまな人種や価値観をもった人たちがいる」ことを理解しています。そんな彼らは、相手に対して自分の理想を押しつけることはしないのです。
Z世代は「性別的役割分担」から解放されつつある世代ともいえるでしょう。「性別的役割分担」とは、「男性は外で働き、女性は家で家事・育児をして夫を支える」というかたちのことです。Z世代にとって、現代社会は不安定で共働きをせざるを得ない状況で（性別にかかわらず）働くのが当たり前という認識があるのでので、夫婦間でトラブルになりにくいのです。またお互いに、仕事も家事・育児も協力するものと考えられています。
夫婦のコミュニケーションも対面にこだわらずテキストメッセージで済ますことも多いです。テキストメッセージは、入力する前にひと呼吸おいて冷静に考えられるという利点もありますよね。とにかく「こだわらない」が彼らのスタイルなのです。(注：「こだわりがない」のとは大きく意味が異なります)
Z世代に学ぶ秘密その２．それぞれが楽しむべし！
「こだわらない」ということは、相手の「ありのまま」を受け入れることができ、自分のことも大切にします。何をするにもパートナーといつも一緒という関係はお互いに望みません。自分の時間も相手の時間も大切にし、口出しせず、フラットな関係に居心地のよさを感じます。それぞれの時間を充実させることができているから、夫婦関係も良好なのかもしれませんね。
Z世代に学ぶ秘密その３．日頃から自分に素直になるべし！
Z世代は、日常的にSNSなどネット上で、自分のプライベートや考えを表現しているため、自分をさらけ出すことへの抵抗感は低いでしょう。ひと昔前は、むやみに自分や家族の事を誰かに話すのは「恥」だとか「拙僧がない」などと言われた時代もありましたが、Z世代にはそれありません。むしろ自己表現することで自分を知ってもらい、共通する不特定多数の人たちとつながれる「居場所づくり」のツールとして活用しています。彼らには日常的に自分の心をオープンにする習慣はありますが、実は心配性な面もあり、分からない事は素直に「分からない」と誰かに聞いたり相談します。「心配性」で「素直」なのもZ世代の特徴なのです。
頑張りすぎず幸せになりたいカップルはZ世代に学べ！
ここまでご紹介してきたZ世代カップルの特徴をまとめます。
◎穏やかでマイペース
◎パートナーにむやみに干渉しない
◎じょうずに距離感を保ちながらコミュニケーションする
◎オープンマインドな性格
◎心配性で素直など、「自分も相手も大切にする」ことを心掛けている
「熱い気持ちをぶつけ合って！」「大切な人なら面と向かって話すのは当然でしょ！」と感情的なケンカで、いつもパートナーと険悪な雰囲気になってしまうカップルは、彼らのスタイルを参考に、新たな気持ちでパートナーとコミュニケーションしてみると新鮮かもしれませんね。
［執筆：大野あきえ（公認心理師／社会福祉士／AFP）］
※写真：takeuchi masato / PIXTA（写真はイメージです）