■ 孫には優しいのに、娘には厳格な母親
お正月も終わり普段の生活が始まると、母娘関係改善カウンセラーの筆者のところには、次のような相談が多くなります。それは、冬休みに家族連れで実家に帰省した時、実母が相談者に対して行った言動について。なかでも多いのは、実母が何かにつけて孫達の前で娘を叱責することです。
久しぶりの再会で孫達を可愛がってくれるのはいいのですが、その一方で、娘である相談者に対しては相変わらず厳しい態度を取るのだそうです。たとえば、孫達がいたずらをして何か壊したときは、「子供のしつけがなっていない」と責められる。料理を作ると「こんな不味いものを毎日作って、婿さんや孫達に食べさせているのか」と非難する。お正月に他の兄弟家族など一族が顔を合わせたときも、おせち料理の盛り付け方が気に入らないと娘をなじる。ただの小言ではなく、まるでイジメのようなことが繰り返されるので、子供達が「ママはおばあちゃんに怒られてかわいそう」と言い出す始末。
とても新年を祝う気分にはなれず、毎年、嫌な気分で自宅に戻り、その後1~2か月はひどく落ち込むという人が結構いらっしゃるのです。
■ 母親に毅然と言い返す勇気をもつには?
娘にとって一番つらいのは、自分が叱られている姿を夫や子供たちに見られることで、辱められ親としてのプライドが打ち砕かれること。また母親からのきつい言葉は、一時的に忘れていた幼かった頃――決して褒められたことがなく、いつも叱られていた思い出が蘇り、苦しみが倍増します。
「お母さん、子供の前で私を叱らないでよ」と言い返せばいいのでは? しかし、母親を怖いという思いがあると、なかなか言えません。娘の苦しみはここにあります。子をもつ親でありながら、いまだに自分の母親を怖がっている。それが自分として許せないのです。
ではこれからも、ずっと我慢して母親の叱責を受けなければならないのでしょうか? いいえ、孫の前でわざわざ娘を罵倒するのは母親の嫌がらせです。まずは、母親を恐れる気持ちが自分の中にあることを認めましょう。そして、「お母さん、私は今までのような娘ではない、この子たちの親です。だから、私を貶めるような言動はやめて下さい」と母親に毅然と言っている自分をイメージしてみて下さい。何度も繰り返すうちに言葉が自分の一部になります。それは怖がっている自分から一歩踏み出す勇気につながるはずなのです。
[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー)]
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